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♪Start Again(※海外女性カバー版) / ONE OK ROCK
♪Here’s your song / COYOTE ver.
※ジェイソンの恋人ダイナのカバーでお送りします。
ふと、レイラは満月を仰いだ。スモークに遮られる事なく光り放つそれに、最後に見た彼の瞳が重なった。涙に濡れた顔が乾いていくにつれ、自分の目にも、同じ光を取り戻していく。
見つけ出し、受け止めてみせる――1人1人がこの場に奮い立たせる想いは、歓声と入れ替わる様に、新たな声とブルースのギターサウンドで、スタートラインを蹴った。
「世界はまだ捨てたもんじゃない
息をするのが聞こえる
別の何かを探そうとしている
諦めるなんていつでもできる
けど、歌が終わるまでちょっと待て
真っ新な答えがそこにあるかもしれないだろ」
追いかけてくるレイデンとジェイソンの音が、エマの鍵盤で彩りを増していく。割り込む観客の掛け声と、ステージでブレンドされる鮮やかな歌声は、次々とメロディの花を咲かせていく。そして、アクセルの想いに近づく努力が、汗に光った。
「良いか悪いかなんて分からない
でも信じるしかなかった
誰も認めなかろうが
走って新たな道をみつけろ
過去は手放してしまえ
もう怖がらなくていい
このサウンドがいつも傍にあるから――」
「聴けよ、アックス!」
咄嗟に飛び込むブルースのシャウトに、観客の掛け声が高波を生んだ。音を送るという目的を、大きな1束に変えていく。疾風の如く吹き抜けるペイトンの音と、ジェイソンの強いヒットが、空気をより膨らませ、鑑賞エリアが凹凸を描いた。
「願いや想いは生き続ける
痛み、悲しみ、そして涙を越えて
また、誰かに優しくなるために
選択の余地はなかった
愛する人を満たすためなら
同じ様にプレッシャーを感じる
良いか悪いかなんて分からない
でも信じるしかなかった
誰も認めなかろうが
走って新たな道をみつけろ
過去は手放してしまえ
もう怖がらなくていい
このサウンドがいつも傍にあるから――」
「スタイルかませ!」
捻じ込まれたレイデンのシャウトに、観客の叫びは、まるで瞬く星の様に賑わう。すっかり浸透した掛け声が、間奏によって撫でられ、穏やかになる。と、エマによる音色の波に、2種類のギターサウンドによる飛沫が、シンメトリーに立ち上がる。ダイナの声が引いていくと、ブルースとレイデンの二重奏に変わった。
「沈む、溺れる、藻掻いてる、正しい道を失った
だから犯した罪を全部焼き払った
それでも彼等はまだ、火傷として自分に残ってる」
遠くから割り込んできたジェイソンの連打を、ペイトンが下から掬い上げる様に音を掻き立てた瞬間――静音の間に、シンバルとギターのシャワーが拡がった。ダイナは再び、声の虹を描くように、鋭利な光を宿していく。
「良いか悪いかなんて分からない
でも信じるしかなかった
誰も認めなかろうが
走って新たな道をみつけろ
過去は手放してしまえ
もう怖がらなくていい
このサウンドがいつも傍にあるから――」」
「お前の居場所は、ここにずっとある!」
観客の掛け声に重なるブルースの叫びに、更なるシャウトが空気に雷を落とす。
「たとえシルバーコヨーテであろうとだ!」
痺れるエアーは、レイデンの叫びと観客の声と共に爆ぜていく。
「戻って来い!」
ブルースの噛みつく様な叫びは、そのまま会場に伝染し、共鳴し続けた。真っ直ぐに放たれる願いは、後押ししてくる新たな3人の音と、パワーを貫くジェイソンの音によって、熱気のウェーブを描く。
重なって響くアクセルの名が、周辺の木々を揺らした。広く繋がり、脈打つサウンドが、風を起こし、雲の流れを速めていく。
波の上を颯爽と走り抜ける様な歌は、観客と共に上げる最後の掛け声と4種のサウンドで、ゴールインを決めた。
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サスペンスダークファンタジー
COYOTE
2025年8月27日完結
続編「Dearest」当日同時公開
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