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*完結* COYOTE   作者: terra.
Waxing Gibbous
149/184

4




         *




 アクセルとジェイソンは、ライブハウスまでの道路で検問にあっていた。容疑者が特定された現在、更なる情報収集をしているところだと、警官は言う。

 ジェイソンが冷静に対話する一方で、アクセルは平常心を装うのに死に物狂いだった。しかし、自分だけ何も反応しない訳にもいかず、フードを被ると、あたかも睡眠の邪魔をするなといった態度を取り、それらしい顔で心境を誤魔化した。



「大変ですね。俺の事調べます? 仕事しててよく言われるから困ってんだよ、容疑者に似てるって。イケてるのはありがたいが、迷惑だ」



 ジェイソンの自然な態度に、警官は気さくに笑った。



「それはそれは。心配しなくていい、君は見るからに違ってるさ。そっちの彼はクラスメート?」



 アクセルは、わざとらしい溜め息をつくと、窮屈でならない心を強引に解放する様に、警官と向き合った。



「そうだよ、なんならパートナーだ。恥ずかしいから見ないでもらえる? こっちは短い貴重な放課後にしかデートできねぇんだからさ。体力の温存に睡眠が要るんだよ、分かるでしょ?」



 警官はせせら笑いながら、アクセルの態度を手で払い除ける。



「それはすまないね。ただこちらも、君達の貴重で愛溢れる時間を守る義務があって、やってる。容疑者に襲われちゃ、たまったもんじゃないだろう」



 もういいだろうと、ジェイソンは静かに警官に終わりを促すのだが、アクセルは、半ば前のめりになってしまった。



「それだけどさぁ、そっちは、どんだけ調べてあの人を犯人だって言ってるワケ?」



 警官は腕を組むと、アクセルに目を這わせながら小首を傾げる。



「家族がいながら何でそうなっちまったか、何で家に帰れねぇかをどれくらい考えたんだって話だよ。ハンターが撮った写真だけで、犯人だって決めつけてるんじゃねぇのか」



「おい、その議論はクラスで散々やったろう」



 ジェイソンは、運転席まで迫るアクセルを押さえつけながら、ただの思いつきを連ねた。



「なるほど。君の考えは興味深いが、容疑者を捕まえない限り答えは分からない。本人がどうであろうと、罪を犯せば法に基づくまで。相手の出方によっては、こちらも相応の態勢を取る」



「最悪、殺すのか……簡単に、撃っちまうのか……」



 警官は僅かに眉を上げると、親指を前に、手を腰にやる。



「その辺の判断はシビアだ、少年。君の様な熱い存在に会えて嬉しいよ。ただ、それもまた、事件による不安がそうさせているとも言えるだろう。こちらは、一刻も早い解決に努めるよ。時間を取らせたな」



 ジェイソンは軽く手を上げると、安堵の息を小さく漏らした。






 2人を見送った警官は、端にいた相方に相槌を打つと、無線に触れながらパトカーに乗り込んだ。



「本人かは分からないが、気になる少年がいた。暫く見張る」








※親指を前に、腰に手をやる動作。

こちら、1種のボディランゲージで、情報をもっと欲しがっている可能性を秘めたものです。



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サスペンスダークファンタジー


COYOTE


2025年8月下旬完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています

インスタサブアカウントでは

短編限定の「インスタ小説」も実施中


その他作品も含め

気が向きましたら是非



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― 新着の感想 ―
こんにちは♪ いつもお忙しい中、投稿お疲れ様です☆ いやあーーヒヤヒヤしました(~_~;) 自分の体温だけでなく、時間を忘れるくらい見入ってしまいました! 警察が怪しむのも当然ですよね。 身元確認を…
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