表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*完結* COYOTE   作者: terra.
First Quarter
130/184

3




「……飛び出して来たら?」



 レンジャーの問いかけに、警官は視線を逸らさずに言う。



「迷うな。奴は人を獣みたいに襲う」



 聞き苦しい言葉がステファンの脳内で木霊(こだま)した途端――彼は、レンジャーの正面から飛び出した。

 声を上げたレンジャーは、照準を合わせる間もなく、そのまま受け身の姿勢になる。ライフルを掴まれ押し倒されるまでの最中、警官がステファンに銃口を向けた。それを捉えたステファンは眼を光らせ、牙を剥く。警官の発砲は、呆気なく躱された。




 警官とレンジャーは目を疑うも、食い下がる。レンジャーは、ステファンの腹を蹴り、屈んだ。しかしステファンは、地面を転がり身を立て直し、低く身構えると、警官に突進した。目で追いつかない移動速度に、レンジャーはバランスを崩す。




 警官は、逼迫する中、迫りくるステファンの攻撃を敢えて受ける。両手を取られるも、どうにか銃口を彼の顔に向け、発砲した。

 だがステファンは、即座に首を傾け、銃弾を躱して見せた。襲撃に遭う2人は目を疑い、身が竦む。




 警官は、ステファンの眼光に目が眩み、そのまま地面に押さえつけられた。腕を叩きつけられ、銃を弾かれると、顔に打撃を受けた。その場に轟く威嚇は、これまで疑い深かった被害者の目撃情報を、事実に染め上げる。



「落ち着け、ラッセル! 話を聞かせろ!」



 彼の後ろに飛びついたレンジャーだが、容易く払い除けられ、背中から奥の幹に衝突した。

 絶句するレンジャーは、殴られ続ける警官に目がないステファンに、ライフルを向けた次の瞬間――狙いが激しく逸れ、弾は空振りした。




 突然舞い込んだ影もまた、眩しかった。瞬間的な銀の光に視界を遮られたレンジャーは、隙間から事態を探ろうとする。その輪郭が露わになるにつれ、瞼を失った。目の前に立つ、ライフルを奪い取った者に、驚愕を抑えられない。




 追いついたアクセルは、レンジャーに低く唸ると、込み上げる怒りに任せてライフルを握り潰した。それを更に圧し折ると、森林の外へ投げ捨てた。




 事態に気付いたステファンは、アクセルに構わず、レンジャーに翻って地を蹴った。爪と牙を立て、銀の液体を散らせながら、疾風の如くアクセルの脇を奔り抜ける。

 その時、アクセルは背後で金属の音を聞きつけると、ステファンとすれ違ったその足で、銃を構える警官に迫った。




 アクセルは寸秒で銃を掴んで押し上げると、頭上の枝が弾けた。木々が降り注ぐ中、銃を奪い取ると、警官の腕を捻り、背中に回して軽々立たせると、森林の外へ連れ出していく。









-----------------------------------------


サスペンスダークファンタジー


COYOTE


2025年8月下旬完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています

インスタサブアカウントでは

短編限定の「インスタ小説」も実施中


その他作品も含め

気が向きましたら是非




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こんにちは♪ いつもお忙しい中、投稿お疲れ様です☆ ステファンの身体能力には驚かされました!(◎_◎;) 弾丸を躱し、レンジャーや警官を圧倒する力は、まさに剛力ですね。 アクセルも駆けつけましたね。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ