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*完結* COYOTE   作者: terra.
Waxing Crescent
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15




 何の騒ぎだと、ブルースが割り込んだのが先か――派手に水が撒かれ、悲鳴が上がった。



「溝のヌメりは粗方流せたぜ、マザー。悪いけど、モップがけは頼むよ」



 バケツを丁寧に置いたレイデンは、清掃員の女性に愛想よく告げると、騒ぎの輪に颯爽と踏み込んでいく。周囲が後ずさる中、彼はアクセルに絡む大男に迫ると、上から下までじっくりと視線を這わせた。



「まだこびりついてんのか……ああ何だ、なら率直に言わねぇと分かんねぇぞ。ダーリン、本当はお前が好きでたまんねぇんだよ、って」



 レイデンは気にせず、大男をちゃかす。



「ブタバコ出の両生類がっ……引っ込め」



 相手は焦燥を抑えながら罵るも、レイデンは涼しい態度を変えない。



「おいおい、俺はお前から見たら師匠だぜ? 態度がオワってる。止めとけ、見てて痛ぇのなんのよ」



 相手は怒りに引き攣った笑みを浮かべながら、飄々とするレイデンを睨む。その間、アクセルは、ブルースにその場から引き摺られた。

 急に浴びせられた水は、アクセルにとって大きな救いだった。込み上げる感情が、危うく爆発しかけていた。

 ブルースはアクセルの肩を掴んだまま、レイデンの出方を気にしていた。




 そこへレイラも駆けつけると、視線を感じ、身を縮めた。小声での騒ぎが、身体を(くすぐ)る様だった。

 それを聞きつけたアクセルは、レイラをすぐさま引き寄せる。しかしレイラは、騒動の輪に近付いた事で、レイデンがいよいよ胸倉を掴まれるところを目の当たりにし、思わず彼の名を叫んだ。




 それに振り向いた大男は、ずぶ濡れにされた分の怒りが増すまま、ライバルであるアクセル達に視線を流す。



「ほう……そうかよ……なら今日からてめぇ等の名前は、逆ハーレムだ!」



 するとレイデンは、手だけで待ったをかける。



「勝手が過ぎるぜ、ウスノロ。こちらにも採用手順がある。まずは、てめぇが名付け親に相応しいかを試すところからだ。ショットの連発の後に、何人絶頂に連れてけるかを見せやがれ。喜べ、第一関門は俺だ。厳格な査定をしてやっから、安心してかかってこい」



 いつもならば、コミカルにサングラスをフリップアップするレイデンも、込み上げるものを抑えているのが、微かな声の震えで分かる。



「イかれたアバドンはとっとと院に帰れ! 悪影響な奴に居場所はねぇ!」



「そらぁそうだろうねっ! さあ、どいたどいた! 掃除にならないでしょ! こちらは暇じゃないんだ、ゴミを増やさないでおくれ!」



 清掃員が問答無用で割り込んだ。彼女からすると、子どもの小競り合いなど、どうでもよかった。乱暴な手捌きで、生徒達を払い除ける様に水掃きをしていく。




 周囲は、同じ汚れとして扱われていく大男や、割り込む清掃員の動きが何とも言えず、笑い転げた。その様子に、レイデンの器から感情が漏れた。



面白(おもしれ)ぇか……残念だ……それが、お前等が明日に繋げてぇもんか……ああ止めとけ、未来の子どもが地獄を見るぜ」



 レイデンは、溢れた怒りを尚も抑えながら言葉を切ると、すぐ側にいた、記事にしたくてうずうずしていた生徒の肩を引っ掴んだ。









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サスペンスダークファンタジー


COYOTE


2025年8月下旬完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています

インスタサブアカウントでは

短編限定の「インスタ小説」も実施中


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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― 新着の感想 ―
こんにちは♪ いつもお忙しい中、投稿お疲れ様です☆ ブルースとレイデンが助けてくれましたね。 男はずぶ濡れになっても、まだ足りないくらいです。 もっと仕置きがあっても良いくらいです。 清掃の女性が、た…
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