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第三十八話 駄女神と夢のお告げ

『これ……ペン、ペンペン、これペンペン起きるのじゃ』

 どこかでオレを呼ぶ声が聞こえる。なんだかすごくまぶしい。だから目を瞑る。また眠くなる。二度寝サイコ~~~グゥ。

『これ寝るでない、すごおく大切な話なのじゃから』

 なんか変な話し方をすると思ったら、いつぞやの駄女神じゃないか。眩しいからもう少し明かりを調整してくれよ。

『駄女神言うな。……恐れ多くも女神に向かって駄女神とか、眩しいから光を落とせとか、何て奴じゃ』

 駄女神はぶつぶつ言いながらも、『800ルーメン位でよいかな』とよくわかんないことを言うと、なんとなく光が弱くなった。

 ついでに威厳もなくなったような気がする。

『だったら威厳があるようにしてやるのじゃッ! 』

 駄女神ぶち切れ。

 急にさっきよりも眩しくなった。もう眩しすぎて目を瞑っていても眩しい。寝ていられないので目を閉じたまま話を聞く。

『で、今日は何の用なんだ』

『お主のその態度は……まあよい。お主、トライヘッドベア相手にだいぶ苦戦しておったのお』

 トライヘッドベアねえ、なんだっけ頭が三つあるクマ……だったっけ?

 言いながらオレは、段々と現実を思い出してきた。

 あ、あれ? そうだオレ、トライヘッドベアと戦っていたんだ。

 それでどうしたっけ?

 なんとかやっつけて……いや、やっつけてないな。追い返しただけだ。

 それでオレはあの後、……死んだ?

 オイオイ、死んでる場合じゃねえじゃんッ! まずいよまたあいつが来るかもしれないんだから。

『仕方ないのお、今度はアリンコにでも生まれ変わるか、魚の方がよいか』

 アリ!? 魚!? マジで?

 なんかちゃんと手足があって武器が持てるやつとか、もし獣しかダメっていうなら元から爪や牙を持ってるサーベルライガーとか、ドラゴンでもいいや、もうちょっと戦える生き物ないのかよ。武器は勇気だけとかマジ無理だと思うよ。

『ドラゴンでもいいやとか、ドンダケ高望みするんじゃ。まあ、お主は死んでおらんからペンギンのままじゃ』

 死んでない? ペンギンのままか。良かったような悪かったような。

 ドラゴンが良かったんだけど、まあいいか。

 じゃあ、寝てる場合じゃねえから、トライヘッドベアが襲ってくる前に起きなくっちゃ。そんじゃな。

『待て、まて、マテ~い、ちょっと待つのじゃ。何のためにお主をここに呼んだと思っておるのじゃ』

 えっと、暇だから?

『それはそうじゃが、そうじゃないのじゃ』

 どっちなんだ?

『お主は忘れておるのか。魔獣の弱点を』

 魔獣の弱点? 弱いこと?

『ドアホ。レベル99だった頃のお主だったら、ワンパンKOで倒せるほど弱かったであろうが、お主今はまだたったのレベル十八じゃ。レベル三十を余裕で超えるトライヘッドベア相手ではまともに戦えんぞ』

 レベル十八? 友達十八人いるって事? 意外と友達になっていたなあ。だれと友達になってたのかな? でもレベル三十のトライヘッドベアとはまだかなり差がある。その割に接戦だったような気がする。

『友情パワーじゃ』

 友情パワー? あの人を超えた奴らがプロレスのような超絶格闘技をして絆を深めると発揮されるという謎の力? そういえば前にそんな事を言われたような。

『村人、特に友達となった者たちを救おうとしたときに発揮された力じゃ。そのドーピングの力で――』

 ドーピング言うな、友情パワーな。

『身の丈に会わない力を発揮して――』

 身の丈あわないとか言うな。ってか、お前が推奨したんだろが

『とりあえず魔獣の力と拮抗したというわけじゃ』

 ふうん。じゃああと二十人ぐらい友達増やして、さらにその友情パワーがあれば大丈夫なわけだ。もしくは――ッ!?。

『フッ……。増やせれば良いのう』

 お前が増やせと言ったんだろがッ。……なんかこのやり取り以前もあった気がする。

『じゃが、お主が友達を増やすのを待ってると、その前に村は壊滅して、村人は全員魔獣の腹の中通って○ソになって森を豊かにするだけじゃ』

 仮にも女神が○ソとか言うな。さすが駄女神。

『駄女神言うな……。友情パワーだって、拮抗するだけで勝てなかったからの。だから相手の弱点をつけと言っておるのじゃ』

 ようやく話が戻ったな。で弱点とは?

『魔獣は、悪魔に見初められた動物じゃ。つまり悪魔の眷属。聖なる力に弱い』

 そうか聖魔法か。回復魔法はオレでも使えるから――ッ!?

『回復魔法ではダメじゃ。あれは生きている細胞に働きかけるだけじゃから、悪魔の眷属でも普通に回復してしまう』

 ふうん。でも他に聖魔法なんて使えないぞ……

『お主、聖剣を持っていたであろうが。巾着袋の中に。じゃから妾は最初に会った時に、大事な物が川にあると言って、巾着袋を探させたのじゃ』

 言ったのは、もう一柱の駄女神だったけどね。

『細かいことはいいのじゃ。弱点を突かないとそこでGAME OVERなのじゃ。聖剣を使うのじゃ、良いかや』

 聖剣ねえ。生前はレベル八十を超えた辺りから、なんでもワンパンで倒してきたから、後半生は武器あまり使ってなかったんだよね。うまく使えるかな。

 って言われてもなあ。

 オレは自分自身が強くなりたいんだよな。剣の力で強くなるって言うのはなあ……。

 オレの力じゃやっぱり勝てないのか。

『無理じゃのう。よくて相打ちじゃ。もちろん狼一家もその方も全員死んで、村の大半の者も死んでの』

 う~ん、駄女神のいう事だからどこまで信じられるかは微妙だが、オレもそんな気がする。やはりここは聖剣の力を使うしかないか。

『ペンペン。聖剣を使うのじゃ』

 駄女神が念押ししながら、オレの頬を突いてくる。

『ペンペン……』

 いい加減うっとおしいくらい頬をついてくる。

 ええい邪魔だなあ――、とその手を払いのけたところで目が覚めた。

 

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