閑話 彼女の決着
私は、真人さんと話し合ったあとから今回の政略結婚を覆すためにお父様にバレないように自分に付いてくれている使用人さんにお願いしつつ、卯月家の内情を探っていた。すると、絶対これだっていう理由に行き着くことができた。
「お嬢様、これを見てください」
「…………これは、こんな額の負債を抱えてたんですか卯月家は」
「そのようですね。ですので、この結婚を破棄するためには別案でこの金額を工面する必要性があるかと」
「なるほど……もう諦めるしかないかもしれませんね」
「そんな……お嬢様はそれでいいんですか?」
「いいわけないじゃないですか!!でも、でもこの金額を私の力では用意できないのですから」
その時でした。この前のお見合いであった時に交換した連絡先、真人さんから連絡が来ました。
「ちょっと失礼します……もしもし、真人さんですか?どうしました?」
「おう、来週からテスト始まるだろ?」
「そうですね……それが何か?」
「俺さ、親父と賭けすることにしててよ。今回の総合順位がトップ5に入った場合は俺の頼みを何でも1つ聞いてもらうっていう契約をしたんだ。だからさ、俺がそこでこの結婚の破棄を頼むことにする」
「なるほど……私もそれをしたいところではあるんですが、私既に5位以内には入っているんですよね」
「なるほどな……とりあえず俺のこの件を待ってもらってもいいか?」
「わかりました……」
現時点で私にできることは無いと判断してひとまずテストに集中する事にした。
「卯月ぃ、俺2位だったから親父に話ししたんだけどさ」
「はい」
「親父が、卯月と一度直接話をしたいそうなんだけどうちに来てもらえないか?」
「私と……ですか?」
「そゆこと。とりあえず俺の破棄の件は認められたんだけどさ?そこに付随する件で直接見極めたいって言っててさ」
「……なるほど。わかりました、明日お邪魔してもいいですか?」
「おう、親父に伝えとくよ」
「よろしくお願いします」
私は、急に会うことになった神堂財閥トップに心底緊張しながら眠れない夜を過ごしたのでした。そして翌日、神堂家にて……
「君が真人の結婚予定だった卯月のお嬢さん、遥さんで間違いないかな?」
「はい、間違いありません。改めまして、卯月遥と申します。今回は、このような場を設けていただきありがとうございます」
「ははっ、そうかしこまらないでくれ。私は別に君のことを怒ったりしたいわけじゃないんだからね?」
「そうなん……ですか?」
「うん、今日はただ君に意思確認をしたかっただけなんだよ。それで改めて聞きたい。君は今の現状を変えたいと本気で思ってるんだね?」
神堂さんからの問いに、私は1度大きく深呼吸を挟んでから
「はい。私は親の都合なんかで結婚相手を決められたくなんかない!今までの、ただ親の敷いたレールに従うだけの人生なんてもう歩みたくないんです!自分の事は自分で決めたい!!」
「…………うん、君はいい目をしている。よし、今回の件は私が協力しよう」
「協力……ですか?」
「そう、具体的には今回の縁談は破棄した上で卯月家に援助だけしようと思う」
「………でもそれだと神堂家になんのメリットもないんじゃ」
「それは確かにそうかもしれないけれどね?自分の未来を変えようと頑張る子の応援をしたくなるのが子を持つ親って物なんだよ。だから君は気にしなくていいから君のお父さんにその事を伝えてきなさい」
「……はい!ありがとうございます!!!」
私は、優しい神堂さんの心遣いに感謝してもしきれない思いを抱きながら急いで家に帰ってお父様のいる書斎に向かいました。
「お父様!」
「……急にどうした、遥」
「お父様に言いたいことがあります!」
「……なんだ?」
「今回の縁談は破棄させてください!」
「……何を言ってるんだ?」
「何度でも言わせてもらいます。今回の縁談は無しにさせてください!」
「……お前は自分が何を言っているのかわかってるのか?」
「わかってます」
「今回の縁談はお前1人の問題じゃないんだぞ?」
「それもわかっています」
「その上で言っているのか?」
「そうです」
「お前は……卯月家が消えてもいいと言うのか!!」
「そんなことは一言も言ってない!!私は、今日この事を伝えるために相手である神堂真人さんとも話しましたし、先ほど神堂文人さんともお話させていただきました」
「…………なんだと?」
「そして、お話した結果縁談は破棄の上で援助を行うという約束をしていただきました」
「そんなことができたのか?……遥、お前が?」
「ええ、そうです。私がやりました」
「…………そうか」
「どうですか?もう私が今回の縁談を受ける必要性は無いはずです!」
「…………そう、だな。まさか今まで俺に反抗することも無かったお前がここまでの根回しまでした上で論理的な犯行をしてくるとはな」
「と、いうことは」
「……あぁ、今回の縁談は無かったことにしよう。俺からも文人さんに直接お話をさせていただく。……遥も自分の意思をちゃんと持てるようになったんだな」
「お父様……」
「ふぅ……俺もお前に意見を押し付けすぎていたようだ。これからは自由にやるといい、お前の意思を尊重していく」
「…………ありがとうございます!!!!」
こうして、私の17年の家に縛られている生活はあまりにもあっけなく終わりを迎えた。そして夏休みに入り、私は真人さんにお願いして夏祭りで有希くんと会う機会を作ってもらったのです。
閑話、卯月シリーズは今話で終わります。次回以降、遥達は本編のほうで登場していきますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
この作品がいいなって思ってくれたら評価や感想のほどよろしくお願いしますm(_ _)m
僕がめっちゃ喜びます!!!!!




