ぼ、僕がですか…!? (有希Side)
僕は、西京エンジェルズの一員として試合に臨んでいました。試合は、僕達エンジェルズの優勢で進み、ハーフタイムの時点で48-23でした。
「いや、まさかあの桜世相手にこんな点差をつけてリードする日が来るなんてな」
「マジでそうだよな。有希がいなきゃまあこうはなってないわけだけどな」
「そんなことないですよ!ディフェンスは僕ひとりじゃどうしようもないですし」
「まあそれはそうなんだけどな?いや、マジでうちに正式加入してほしいぜ」
そう、僕はこうして試合に出てはいるものの、まだ高校2年生という立場なのであくまでも特別指定選手としての加入だった。最初は僕の152cmという低身長に周りのチームメイトからの視線もあまりいいものではなかったけれど、今ではこうしてみんな仲良く接してくれるようになった。
「よし、後半もこのまま行くぞ!」
「「おー!!!」」
こうして気合を入れ直した僕達は後半も勢いそのままに攻め続け、最終的には桜世の追い上げもあったけれど86-78でなんとか勝つことができた。
そして、この番狂わせは翌日のスポーツ紙やニュースで大きく取り上げられるんだけど僕はこの後、そんなことがどうでも良くなるほどの人生の転機を迎えることになる。
それは、試合が終わって家への帰り道についているときだった。
「…………ません」
「え?」
「すいません!天使有希さんですよね!」
「えーっと……どちら様ですか?」
「あ!名乗ってないですね、すいません!!私こういう者なんですけど」
そう言ってよくわからない女の人から名刺をもらった僕はやっぱり頭に?しか浮かばなかった。
「なんで僕にVtuber事務所の人が?」
「まぁ、そうなるよね!」
「う、うん……」
「まあ、それも無理はないんだけどね?さっきの君の試合を見てたんだけど、その身体能力と見た目、声、全てにおいて私が探し求めていた人材にぴったりだったの!」
「は、はぁ……」
「良かったら話だけでも聞いて欲しいんだけど……どうかな?」
「わ、わかりました。とりあえず話だけなら……あの、お母さんを交えてもいいですか?」
「あなたのお母さん?」
「はい、多分この手の話はお母さんのほうが詳しいので」
「そ、そうなの?」
「そうですね…まあとりあえず僕の家に来てもらえますか?」
「わかった!」
「有希くん、おかえりなさい!そしてそこの女の人は……あら?瑠衣ちゃんじゃない?」
「え……有夏さん!?」
「あー、瑠衣ちゃんは有希くんをスカウトしに来たわけね?」
「そ、そうですけど…まさか有希さんのお母さんが有夏さんだとは思いませんでした」
「え?母さんと愛川さんってお知り合い?」
「うん、まあ知り合いも何も私のマネージャーでもあるからね」
「……ん?あれ?お母さんってVtuberなの!?」
「あれ?知らなかったの?」
「いや、聞いてないよ!?」
「じゃあ改めて、私実はVtuber、白金恋として活動してるんだー」
そんな軽いテンションのお母さんに僕は驚きすぎて何も言えなかった。
「…………はっ、びっくりしすぎて意識飛んでたよ」
「ま、まあそれも無理はないですよ。有夏さん!さすがにそれは伝えてあげたほうが良かったのでは?」
「えー?でもうちの有希くんカラパレのVの子結構見てるし、その中でもまあ中心?の私、白金恋の話をしちゃったら幻滅しちゃうかなって思ったんだよね」
「そうだったんだね……」
「あ、では本題に進ませてもらってもいいですかね?」
「あ、そうね!うちの有希くんをスカウトする話よね?私は全然OKよ?」
「そんな軽い感じでいいんですか!?」
「まあ、うちの有希くんなら人気は普通に出るだろうし、機材は私のサブを使えばなんとかなるしね?」
「母さん……」
「ど、どうですか、有希さん……?」
「わ、わかりました。でも1つ条件があって……」
「なんでもどうぞ!」
「イラストなんですけど……僕がデザインしてもいいですか?」
「へ?」
「あ、瑠衣ちゃん知らないと思うから言っておくんだけどこの子イラストレーターの『スノウホワイト』っていう名前でも活動してるのよね!」
「へ?」
「へ!!!!!!????」
母さんの報告に、瑠衣さんは今日1番の悲鳴を上げるのでした。こうして、僕のVtuberデビューが成り行きで決定したのです……
今話の最後に出てきたイラストレーター、スノウホワイトに関しては次の回(瑠衣Side)にて説明します!よろしくお願いしますm(_ _)m
読んでいただいて面白いな、続きがみたいなと思ったら評価や感想のほどよろしくお願いいたします!!!m(_ _)m