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ベルガモの末路

「あっぢああつああっああづあちゃああああああああああ!!」


 ベルガモは気が狂ったかのような悲鳴をあげながら、滑稽に思えるダンスを踊り続けていた。


 この部屋いっぱいに広がる、黒い鉄板のような床の上で。


 シモーヌが行方不明になったあと、エイブ、ベルガモ、デルモンドの三人はとあるダンジョンに挑んでいた。


 先日のイビルリザードマンが持つという秘宝の奪取にも失敗したため、さらに資金繰りが厳しくなり、少ない人数で無謀とも思える行為に出る事になったのである。


 しかし、さすがにその代償は大きかった。


 ベルガモはダンジョンの通路にしかけてあった落とし穴にはまり、その細道を転がりながら最後に放り出されたのが、この黒い鉄板の床が敷き詰められている一室だったのである。いや、床どころかご丁寧に壁までが同じ材質のようだった。


 そしてこの黒い鉄板はどこかから焼かれているのか熱を帯びており、たちまちやけどするような痛みと熱さがベルガモを襲った。それで先ほどのような謎の悲鳴をあげつつ踊り狂うような羽目に陥っているのだ。


 周囲は鉄板らしき壁に閉ざされて出口はない。脱出できそうな場所と言えば自分が先ほど落ちてきた穴だが、それも手の届かない高さにある。


 しかもこの部屋は、立ち上がって少しでも痛みと熱さから逃れようとするベルガモをあざ笑うように、不規則なタイミングで何度もさまざまな角度に傾いた。そのたびにベルガモは倒れて転がり、全身を焼かれる苦痛を味わうこととなる。


「あづっあ! 助げで! だれかだずげで! ああああああああああああああああああああああ!!!」


 魔剣士であるベルガモは剣技だけでなくある程度の魔法を行使することが可能だ。


 しかし、焦げる鉄板の床一面を瞬時に冷ますような魔法も、自在に空を飛ぶような魔法も、残念ながら持ち合わせていなかった。魔法使いだったシモーヌなら現状をどうにかできたかもしれない。だがシモーヌはもはや彼らの仲間とはいえなかったし、そもそもすでにこの世に存在しない。


 助けを乞う彼に応えられるような救世主が現れることは、ついになかった。


 ベルガモは気が遠くなるような時間を、焼けつく鉄板の上で悶えながら過ごした。


 もはや正気を失った口からは苦痛と怨嗟に満ち満ちた叫び声を上げ続けていたが、いつしかそれも発せられなくなる。


 やがて火を通しすぎて焦げた野菜のように、黒ずんだ塊となってベルガモは鉄板の上に横たわった……。


 R.I.P(安らかに眠れ)

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