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夜の秘め事

 僕は一日の作業と夕食とを終え、今は自分にあてがわれている部屋で過ごしていた。


 あたりはすっかり暗くなっているけれど、まだ夜がふけたとは言えないような中途半端な時間だ。


 部屋の中は台の上に置いてある小さな燭台の灯火によって、かすかに照らされている。


 ベッドに腰掛けたまま、僕はぼんやりと考える。頭の中に浮かんでくるのは主にシスターのことだ。


 いつ頃からかは分からないけど、シスターのことを考える割合が少しずつ大きくなっている。そしてその事とは反対に、かつて僕を裏切ったあの四人に対する憎しみはだんだん薄れているようだ。今ではあの時のことを思い出してうなされる日も滅多にない。


 はじめの頃は助けられた恩義に応えたいと思っていただけだった。でも最近はシスターと一緒にいるだけですごくドキドキする……もちろん時々見せる、いつもとは違いすぎる一面のせいで動悸がはやくなることもあるけど。


 でもそれすらあのシスターの魅力的な表情の一つなのではないか……そんな風に感じるようになっている。


 僕はやっぱりシスターのことが……。


 その時、部屋のドアを軽く叩く音が聞こえた。


「リオ君、入ってもいいですか?」


「シ、シスター? どうぞ」


 ちょうどシスターのことを意識していた最中だったため、つい上ずった声を出してしまった。ちょっと恥ずかしい。


 僕の返事を聞いて、シスターがドアをあけて部屋の中に足を踏み入れた。


 ベッドに腰掛ける僕に近づいてくるシスターはいつも通りの服を来ている。でもちょっとだけ変化があることに気付いた。ふだん胸のあたりにかけている聖印と思しき首飾りがないのだ。


 こんな時間に何の用なんだろうと思っていると、僕の隣、つまりベッドの端にシスターもあっさり腰掛けた。なんというか、いつもよりも距離感が近いような気がする。


「ど、どうしたんですかシスター?」


 ドギマギしながらも、さすがに距離を開けるのは失礼かと思ってそのまま隣のシスターをわずかに見上げた。


 シスターの瞳はいつもの優しさを湛えていた。でもその中に普段とは違う感情がこもっているようにも思える。


 やがてその手がシスター自身の衣服に触れ……シスターが何をしようとしているか気付いた僕はたちまち息を飲んだ。


「……!? シ、シ、シシシシシスター!?」


 いきなり服をはだけ始めたシスターに、僕はパニックになってまともな言葉も喋れない。


 そうしている間にシスターの上半身の衣服はすっかりはだけられ、繊細なデザインの下着とふくよかな胸の谷間が見えた。


 僕は自分が凝視していることに気付くとあわててそっぽを向き、両手で自分の視界をふさいだ。


「なっ、なっ、なっ、なんでこんなことを!?」


 シスターはそんな僕の体にぴったりと密着した。たちまちその柔らかさと体温が伝わってくる。今の視界は真っ暗なのに、さっき目に焼きつけてしまったシスターの艶めかしい姿がまぶたの裏に浮かんでしまう。僕の動悸はますます早くなる。


「……リオ君は、今の私をどう思いますか? 軽蔑しますか?」


 耳元でささやくようなシスターの声。もうそれだけで、僕はどうにかなってしまいそうだった。


「け、け、軽蔑なんてしません……でもでも!!」


 そりゃ僕だって男なんだから、シスターに対して口では言えないようなことを考えたことはある。


 でもなんというかいきなりすぎるというかもっとステップを踏むべきというか、ああもう思考がまとまらない!


 シスターは僕を振り向かせると、両手で必死に視界を覆っている僕の左右の手をやさしく掴み、でも逆らえない力で引きはがした。


「ふふ……軽蔑されないで良かった。では、もっと今の私を見てください。リオ君……」


 僕はその言葉に導かれるように、とうとう閉じていたまぶたも開いてしまう。


 中途半端に脱がれたシスター服と、あらわになった部分から覗く白い肌と美麗で扇情的な下着が、僕の視界に飛び込んでくる。


 僕は魅入られたかのようにその姿態から目を離せなくなってしまった。


 シスターはそんな僕に満足したかのように、うっとりとした表情を浮かべている。そしてますます僕にしなだれかかってきた。


「あ、ちょ……だ、駄目ですシスター!! そ、そうです神様だって見ているのではないですか!?」


 まだかすかに残る理性で僕はそんな言葉を口走る。でもシスターはその言葉でも動じることなく、笑みを浮かべたまま優しくささやいた。


「大丈夫です……神様はもうお休みになっていますから……」


 僕の両手は、今ではシスターの両手に五本の指でそれぞれからめとられている。


「シ、シスター……」


「リオ君……私のことはシスターではなく、名前で呼んでくださいな……」


 その言葉を口にしたら、もう後戻りはできないだろう。でも、もはやそれを押しとどめる最後の理性は焼き切れてしまっていたようだ。かすかに震える声で僕はついにその名を口にする。


「……カ、カミラさん……」


「はい……よくできました……」


 カミラさんはそんな僕を見つめて、今まで以上にとろけそうな表情で微笑む。


 そして……。


 僕はカミラさんによって、優しくベッドに押し倒された。

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