シスターに薪割りを頼まれる
「今日は薪割りをしてもらえませんか」
「はい。任せてください」
打てば響くような返事をした僕だったけど、実は薪割りはそこまで得意ではない。どちらかというと僕は非力なほうだし。
でもシスターの頼みとあってはやらないわけにはいかない。やっぱりこういった力仕事に関しては頼ってもらえるとちょっと嬉しく感じてしまう。
案内された場所には台となりそうな切り株と、まだ割られていない丸太がいっぱいあった。
「これを使ってください」
「はい」
シスターから薪割り用の斧を受け取る僕。
「こちらにまとめてあるぶんをお願いしますね」
シスターは少しだけ離れている場所にまとめて積んである木材を示した。ひとつひとつのサイズはそこまで大きくないけれど、量はけっこう多い。
お風呂だったり、料理の時だったり、この修道院で薪を使う割合は結構多い。そのぶん必要な薪の数も多くなる。意識してなかったけど、今まではシスターが薪割りをしたり出来た薪を運んだりしていたのだろう。
「急ぎというわけではありませんから、明日まででも構いませんよ?」
「いえ、なんとか今日の内に終わらせてみせます」
結構な労働になりそうだからかシスターがそう言い添えたけど、シスターに頼りにされたいと常々思っている僕は、ついそんなことを言ってしまう。
でもそんな僕の気持ちを買ってくれたのか、シスターは微笑んだ。
「わかりました。ただ、あまり無茶はしないでくださいね?」
「はい」
シスターが去って行ったあと、さっそく僕は薪割りの準備に取り掛かる。シスターに頼まれた量はけっして少なくはないけど、集中してやれば夕方までには終わるだろう。
薪割り用の台に丸太を縦に乗せ、僕は斧を大きく振りかぶる。
そして狙いをつけて思い切り振り下ろした。
しかし……僕が考えていた箇所に上手く叩きつけることができず、丸太の外縁部を削りとるにとどまった。位置がずれてしまった丸太を配置しなおし、ふたたび間合いをとって斧を構える。
でも二回目も似たようなものだった。薪割りと聞いて人々が思い描くような美しいモーションにはならず、斧はやはり狙いをそれて木材の一部を分断する形にとどまってしまう。
「うーん、やっぱり薪割りは苦手だな……」
でもこれくらいで泣き言をいうわけにはいかない。
せっかくシスターに任せてもらえたのだし、ちゃんとお願いされたぶんはこなさなければ。それにやればやるほど上達していくはず!
そう考えると僕はもう一度斧を振り上げ、傷ついた丸太に振り下ろす。
今度こそうまい具合に、鋭利な刃は丸太を真っ二つに叩き割った。




