0.プロローグ
授業中、急に思いついてしまった本作品。楽しんでいただけると嬉しいです。
「よお帽、相変わらずの寝ぼけ面だな」
「はいどーも、馬鹿面した紫樹さんには敵いませんがねえ」
「おいもう一回言ってみろ殺すぞ」
「そういうところが馬鹿なんだよお前は」
昔から、こいつはそう、ただの脳筋馬鹿野郎なのだ。
礼田紫樹と初めて出会ったのは五歳、近所の公園で遊んでいた時、関西方面から東京に引っ越してきたという紫樹が家族とともに砂場に現れたのだ。
初対面の印象は最悪だった。お互いに強情で、砂場にある一つのスコップを巡って殴り合いをして、負けた僕は泣きながら走って家に帰ったことは、昨日のことのように鮮明に思い出せる。
お互い同年代の友達がいなかった僕たちが、喧嘩こそ多かったものの、仲良くなるのは必然といえば必然だろう。
「なんだ帽、俺に喧嘩売ってんのか」
「僕は安い挑発には乗らない主義なんで遠慮しときますー」
「ふっ、逃げるなら最初から大口叩くんやないで!」
ハハハと豪快に笑った関西弁交じりの紫樹の精神年齢の低さは誰もが理解できるだろう。
長い付き合いだ、もう慣れてしまったが。
それにしても、昨日は相当な時間までゲームに熱中してしまって、明らかに睡眠時間が足りてない。この際だからはっきり言おう、だいぶやばい。
朝のHRのチャイムが鳴ってもなお意識は朦朧としており、ひたすらに時計の秒針を眺めていた。
「今日は皆さんに大事なお知らせが――」
無理だ、もう布団に入って寝れるなら何をしてもいい、どうか寝させてくれ……
そうして、僕の意識は、深い深い闇に誘われていった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。この先も結構すぐ更新します。




