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血の契約  作者: 吉村巡
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47:やっぱり呼び出し

 課題届を提出した次の日は昨日と違い4時間目から課外活動の時間になった。

 周りの生徒はグループを作っている者は既に作っていたが課題を決めている生徒は少なかった。

 課題には二種類あるらしく、自分で決めてやるものと学校側が最初からを内容を提示してやるもの。生徒はどちらかを選択出来るが全生徒でどちらを選ぶかは綺麗にほぼ半分にわかれているらしい。

 課題に取り組む時間になると、呼び出しの放送が流れた。

『普通科12学年 マリウス・クルシューズ、マリアンヌ・クルシューズ、レイ。 魔術科12学年 カナタ・シルロード、サラサ・ミカサエル。 剣術科12学年 セイジ・コルセール  以上の六名は至急第一生徒相談室に来て下さい。繰り返します。

普通科・・・・・・』

 マリア達と顔を見合わせたレイは第一生徒相談室に案内してもらいながら向かった。相談室の前には定例会の時に壇上に立ち、課題について説明していた先生が立っていた。既にセイジ・サラ・カナタは集まっていた。

 レイ達も到着し、名前も知らない先生が状況を説明してくれた。

「君たち6人が呼ばれた理由を説明しましょう」

 何となく上から目線な感じがした。無知で馬鹿な子供を諭すような声音にレイは不快感を覚えた。

「君たちが呼ばれた理由は課外活動の課題の内容についてです。君たちの提示した課題を吟味すると指摘する点が多々あったので、これから指摘する点について答えてもらいます。中へどうぞ」

 先生が相談室の扉を開けた。部屋の中には担任教師であるヘルマン先生とレイは名前を知らない先生が扉を開けた先生を含め三人いた。

 椅子を勧められ、大人しく全員が座る。レイ以外に落ち着いているのはカナタだけだ。他の皆は少し緊張の面持ちをしている。呼び出されているのならそれが普通なのだろうがレイは心内の読めない口元だけの薄い笑いを浮かべている。カナタの方は無表情だ。

 呼び出しと言う名の尋問が始まった。




「それでは、課外活動管理委員会のもとに課題の内容について問い質したい事があり君たちをここに呼び出した。私は委員長のロアーク・ホビットです。こちらは四古参であられるヒアネオ・ウレット先生で薬学を教えています。左隣は12学年学年主任のヘルマン・メルヴィル先生。君たちの後ろに居るのが管理委員の一人のジャン・バートン先生。高等機関の先生なので知っている人は少ないでしょう」

 簡単な説明が終わり、本題に入る。

「単刀直入に言いますが、貴方達の課題に私達は多いに疑問を抱いています。課題を達成出来るという可能性は限りなく低いでしょう。そこで、何故貴方達がこの課題を課外活動で行なおうとした理由を一人ずつ聞かせて頂けますか?」

 一番最初に当てられたのは右端に座っていたセイジだった。席順からしてセイジ、マリ、マリア、サラ、カナタ、レイの順になるだろう。

「えっと・・・。元々そう決まってのと、反対する理由が特になかったから、です」

 セイジは途切れがちに答えた。理由としてはとても子供らしいが、しっかりとした理由にはならない。次はマリの番だ。

「そうですね。元々、課題はその内容にするつもりはありませんでした。同時に、レイをグループに入れるという考えもありませんでした。ですが、レイの考えていた課題に興味を惹かれてここに居る全員との話し合いの結果が現在に至ります」

 理由だけではないがマリはセイジよりマシな言葉で理由を説明した。次はマリアの番。

「マリと同じで、レイの考えた課題に興味を惹かれたからです!」

 簡潔に力強く、マリアが言い切った。次はサラ。

「興味を惹かれたのと、皆と一緒なら大丈夫だと思ったからです」

 か細く、小さな声でサラが言った。カナタはすぐに自分の理由を語った。

「興味があるから。サラが興味を持った事だから。が理由です」

 二つ目の理由は普段無表情とは思えない程の誰もを魅了する笑顔をサラに向けて言った。最後はレイだ。

「確かに、課題を完全に達成出来るか?という可能性は限りなく低いんでしょう。ですが、私には確固たる自信と信念があります。先生方が止めるならそれもいいですし、皆がグループを抜けるとしても止めはしません。元々個人でやるつもりでしたしね。これでも一応は考えて課題を決めましたし、自分なりの裏付けや根拠もあります。なので、課題を変えるつもりはありません」

 微笑みを崩さず、堂々と言い切った。全員の言葉から課題はレイが端を発しているのだと先生達は考察し、レイに対して質問を行なってくる。

 ここからレイと先生達の舌戦が開始する。

(とっとと許可くれればいいのに・・・)

 笑顔の裏でレイはそんな事を考えた。





「では、レイさん。貴方はどうやって解毒薬開発を進めて行くつもりですか?」

 こんなくだらない質問をして来てどうするのだろう?とレイは思ったが、当たり前のように、

「まず、必要な材料を手に入れます。次に実験体になる動物。効果を実証する為に『ヴァルギリ』もですね。動物に毒を投与し、解毒薬を作って効果があるかを調べます。効果があれば課題達成です」

 と答えた。簡潔且つ、当たり前の手順だ。レイの場合は相手を揺さぶる為に使っている上にそれを表情には出さない。要するに、はぐらかしているとも言える。

「どうやって材料を集めるつもりなんですか?絶対に必要だと研究で分っている物はまだ4種ですが、そのどれもに稀少価値があり手に入れるのが困難な上に店で買うのだとしても学生が払いきれる額ではありませんよ?」

 レイはその質問にニッコリと笑うと、自信満々に、

「それは絶対に大丈夫です。旅で出来た人脈がありますので」

 と言い切った。

「それは、どんな人脈なのですか?・・・まさかっ!」

 先生は考えて行く内にレイも考慮にいれていた犯罪者との関わり、に行き着いたらしく一気に表情が険しくなる。レイは先生に何か言われる前に、

「一時、一緒に生活していた人達が薬作りに秀でていました。今でも彼等と定期的に連絡を取り合っているんです。彼等なら必要な物を全て揃えていると思いますし、無くても揃えてくれるので頼めば戴けると思います」

 とつけ加えて答えておいた。先生はいまだ不審そうな顔をしていたが今の所は何も言わないでおく事にしたらしい。

「提出書類の中に二段階に旅を分けるとありますが、これはどういうことですか?説明して下さい」

 先生の目はレイを見ている。マリアが答えようとするのを手で制し教師は全員レイに答えを求めている。

「先ず最初の旅は私だけで行ないます。これは先程話した者達に会いに行く為で彼等は他人と関わるのを必要最低限避けているからと言うのが理由です。二度目の旅はグループのメンバー全員で行く予定になっています。二つに分けている理由は私だけが全て材料を用意してはグループで課題をする意味が無いからです」

 と答えた。その言葉にマリア達は今更ながら気が付いた。確かに薬の開発を手伝う事は出来るが内容を理解していないので先頭に立って率先してやるのはレイになるのだ。

 今回のレイの答えには先生も少し苦い顔をしながらも納得した。レイの言葉ではマリア達が足手まとい、とも見方によっては捉えられるからだ。

 だが、次の先生の質問は今回の課題の核心を突いて来た。

「ここに四古参であられるヒアネオ先生が居られる理由ですが、実は貴方達に今回作ろうとしている薬の材料と作り方を教えて頂き、それが危険な実験になるかどうかを判断していただく為です。今ここで、貴方達の考えている薬の作り方を教えて頂けますか?」

 マリア達が不安そうにレイを見てくる。レイは一応予測済みだったので少し困ったような顔作って、暫く思案する振りをした。この中で全てを説明出来るのがレイだけなのだ。レイに説明してもらわなければ課題が認められる可能性は断たれるだろう。

「出来る事は出来ますが・・・。一応、オリジナルの課題なので今、他人に知られることが私にとっては問題だと思うんですが?」

 レイの言葉にロアーク先生が苦笑して、

「その心配は無い。情報が漏れる事は決して無い、と私が請け負おう」

 と言い切った。レイは今までとは違う笑いで、

「捉え方の違いですね。私は今、この環境で課題の核心ともなる事を安易に話す気にはなれないんです。何処から情報が漏れるかは分らない。そこで幾つか頼みがあるんですが」

 レイの言葉にロアーク先生は「何だ?」と聞いて来た。レイは真面目な顔で要求を言った。

「まず、私とロアーク先生、ヒアネオ先生以外は全員退出して頂く事。両先生にはカナタに『絶対の誓い』をかけて頂く事です」

 先生達は怪訝そうな顔をし、生徒達の方はサラ以外がきょとんとした顔をしている。サラだけは聞いた事があるようだ。

「そこまで厳重にしなくとも、他の誰かに課題の事を言うつもりはないですよ?」

 苦笑しながら言ったロアーク先生の言葉にレイは微笑んで、

「先程も言った通り、私の精神の安穏のためです。今までの環境柄、大事な事をおいそれと他人に教える事がどんなに危険か、という事を嫌という程知っていますから」

 と答えた。ロアーク先生は溜め息を一つ吐くと、

「良いでしょう。その要求を呑みましょう。それにしても、魔術科でもないのに良く『絶対の誓い』を知っていましたね」

 と言った。最後の言葉には呆れと感嘆の感情が入り混じっていた。

「レイ〜。『絶対の誓い』って何?」

 マリアがレイに聞いてくる。先生達はこれが普通の反応なのに、という顔をしてレイを見つめている。レイはその視線を気にせずに、サラに向かって、

「サラは、分ってるよね?」

 と聞いた。相手がぎこちなくだが頷くのを見て、

「分らなければ後でサラに聞いてね」

 と前置きすると『絶対の誓い』の説明を始めた。

「この誓いは、相手の口を封じるものではなく、約束させる為のもの。相手が約束を守らなければ呪いが発動する。魔術が出来れば比較的簡単に使える魔法で、呪いの効果はかけた人の魔力に応じて小さな切り傷から死に至るまで。約束を果たせばその時点で魔法は解ける。呪いの効果はかけた人の魔力に応じて長かったり、短かったりする」

 簡単に言えばこんなものかな、と最後に続き、レイの説明は終了した。

 カナタは納得したような顔をして、

「確かに、この中では一番魔力が多いと思うけど呪文知らないよ?」

 と一番問題になる事を言った。サラも呪文は知らないらしくレイを不安そうに見つめる。


『誓いは絶対 破る者には 我が力を以て 制裁を』


 レイが普通に答えた。一応基本的な型の呪文だが魔術で使う言葉を言ったのでレイ以外の全員が驚いた顔をしている。確かに『絶対の誓い』を唱えられる普通科の生徒は余り居無いだろう。

「レイさん、何処で魔術語を?」

 ロアーク先生の質問に「保護者に教わりました」とレイは少し面倒そうに答える。

「カナタ『誓いは絶対』まで言って。合図で手を上げたら続きを最後まで」

 レイがカナタに指示するとカナタは素直に、


『誓いは絶対』


「ロアーク・ホビット先生、ヒアネオ・ウレット先生これから私が話す内容をこの休暇中の間、誰にも口外しないと誓いますか?」

「「誓います」しょう」

 両先生がレイの言葉に返事を返した。レイはその言葉を聞いてカナタに対して手を上げて合図した。


『破る者には 我が力を以て 制裁を』

 

 カナタが最後まで言葉を紡ぐと両先生の腕に一瞬で、光の鎖が巻き付き、現れた時と同じように一瞬で消えた。

「それではこれからレイと話をします。他の者は退出して下さい」

 ジャン・バートン先生だけが不満そうな感情を醸し出しているが、それを表には出すことは無かった。大人しく皆の先頭を行って、その後を皆がずらずらと続き部屋から退出して行く。

 扉が完全に閉まり、部屋の中には三人しか居無い。

「それでは、先生の質問にお答えしましょう」

 レイは今までにマリア達に見せた事は無い妖艶な笑いを口元に浮かべた。二人の先生は何故かそのレイの笑いに背筋がゾクリと粟立つのを感じた。




「まず、解毒薬の作り方ですがパルバ鳥の眼球1つ、ケルト草3本、カーセの実1個、白銀の狼の毛5本・・・・・・・・以上です」

 計5分間話し続けた。ロアーク先生には途中からわからなくなったらしいが、ヒアネオ先生は薬学の先生だけあって効果と組み立てがちゃんと出来るらしくレイの言葉に真剣に耳を傾けている。そして、その目は驚愕に見開かれる。

「それで、作り方は!?」

 ヒアネオ先生が語気を荒くレイに先を促す。

「次に作り方ですが、パルバ鳥の眼球はカムロの血に三日漬けた後取り出して乾かした後粉末にしておく。ケルト草は草の汁を叩いて取り出して火は弱火で鍋の中に入れる。次に鍋には草の汁の10倍のクダラ山脈を水源にしている水をいれて一時間程度そのままにする。カーセの実の成分を抽出しておく。白銀の狼の毛を焼いて粉にして抽出したカーセの実の成分と混ぜ合わせる・・・・・・最後に中火で5時間サイシャの涙を色が変わるごとに定期的に加えていき、色が濃い青になれば完成です」

 今度の説明は喋り通しで30分かかった。ロアーク先生には途中から全く訳がわからない、という顔になり最初からずっと真剣に最後には呆然となっているヒアネオ先生の顔を窺っていた。

「そんな・・・まさかっ!でも、今の説明ではわかっている問題点が全て解決出来る・・・。何年かかっても解決出来なかった問題が、こうもアッサリと・・・・・・」

 ヒアネオ先生の呟きは真剣な響きでロアーク先生の耳にも届く。レイは興味なさそうに話疲れた喉を触っている。

「ヒアネオ先生、申し訳ありませんが、今のレイさんの説明では結局どのような結果になるんでしょうか?」

 ロアーク先生の言葉にヒアネオ先生はあり得ない事を口にする、と言う風な表情で、

「私が考えるには完璧です。完璧な説明です」

「それは、つまり・・・」

「高い確率で、解毒薬が完成するという意味です。レイ!何故貴方は《ヴァルギリ》の解毒薬の作り方を知っているのですか!?専門家達が何年かかっても成し遂げられなかった事を、何故貴方が?」

 レイは驚いたような顔をして目を見開くと、当たり前の事を言う口調でレイが、

「レシピと解読材料があり、知識もあれば導き出せた答えです。今まで研究して来られた方よりも多くの手札が私の手の中にあったと言うだけです。多くの手札を見極め有効に使えなければ、今回の課題は失敗するでしょうしまた成功の見込みもあります。まだ結果は出ていません。本当に解毒薬が出来るのかどうかもまだわかりません。今から結果が出ているように言うのは短慮な事でしかありませんので、軽々しく誤解を招くような言葉は言わないで下さい。期待して、付け上がってしまいます」

 と冷静な言葉の中に“短慮”等の相手を怒らせるような言葉を用い、そしてそれカバーする言葉を最後につけ加え微笑んだ。

 両先生は一瞬呆気にとられ、そしてレイの言葉を理解すると困ったように笑った。

「誓いをしたので今の事は誰にも言うつもりはありません。ですが、貴方に少し相談したい事があります」

 ヒアネオ先生の言葉にレイは真面目な顔で「何でしょうか?」と神妙に答えた。

「貴方達が解毒薬の開発をするのを私が見学する、と言う事です。私は皆さんと同じで貴方の考えた課題に並々ならぬ興味を抱いています。もしも材料が全て集まり、解毒薬を作る段階になれば共同実習場ではなく私に与えられている研究室を貴方達に提供します。実験の過程を私は見ていたいと思っているんです。私の頼みを呑んでくれますか?」

 四古参である先生が編入したばかりの一生徒に頼み事をする、と言うのは本来あり得ない事だ。それも、ごく個人的な興味の為に。

 レイはその言葉を聞いて直ぐさま答えを返した。

「答えの決まっている質問をなさらないで下さい。否、と言える訳がありません。目上である先生、そのうえ四古参である方に頼まれれば頷かない訳にはいきませんよ。それにどのみち危険な実験には先生の監督も必要です。今の所、危険性がわからない未知数の薬の開発をするんですからその監督役が先生であるというだけです。ハッキリ言わせて頂きますと、それは中等機関生徒としては破格の待遇だと思いますが?普通、四古参である方は高等機関の方に付くんではないですか?」

 レイの言葉にロアーク先生とヒアネオ先生が顔を見合わせて、

「まあ、普通はそうですが・・・」 とヒアネオ先生は少し躊躇いがちに言った。

「転入して間もないのに、よくそんな事がわかりますね」 とロアーク先生は感心しながらレイの言葉の感想を言った。

 どうにかするらしく、ヒアネオ先生はじっとロアーク先生を見つめ、ロアーク先生の方が耐え切れず視線をそらした事から、

「どうにでもなります」

 とレイに向かってにっこりと微笑んで答えた。ここの学園の教師は腹の中に何かしら一物あるらしい。

「ですが!実際問題として材料の事があります。レイさんが一人で旅に出るのだとしても誰かが付きますが、今の所はまだ決まっていません。私の意見としては貴方の言う集団の事をまだ疑っています。そのような中で私は貴方を旅に出させたくはありませんよ?」

 つまりロアーク先生の言いたい事はその集団の事をもっと詳しく説明しろ、と言う事だろう。

「まあ、言っても問題はありませんが・・・。〔トリグル〕と言う集団は有名だと思いますがご存知ですか?属している者全員が鳥使いである、と言われている。別名、鳥の一族とも呼ばれていたりしますが。彼等は高い情報収集力も有名ですが、珍品なんかも取り揃えているんです。薬学に精通している者も多くて、薬にも定評があります。安全だと言い切る自信があるので先生のご心配は杞憂です」

 先生はレイの言葉に目を見開いて驚いた。何も言えないらしい。

「凄い、人脈ですね」

 漸く口に出来た言葉がそれだった。彼等は流浪の民として有名で何処にいるのか所在が全く掴めず、また余所者と仕事以上で関わる事が無いので関わり合いになる者の方が希有なのだ。

 いまだにそれ以上の言葉が言えないでいる先生に、

「先生方の質問は以上ですか?」

 とレイが言うと、二人の先生は頷いた。レイの言った言葉がインパクトが強すぎるものばかりなので質問が浮かばなかった、と言う方が正しい。

「では、退出させて頂いても?」

 レイとしては、既にこの状況に飽き飽きしていた所だ。

「・・・良いでしょう」

 ロアーク先生がレイに対して退出の許可を出した。もっと質問をしたいのは山々だが、その全てがどうしても個人的興味からなる物ばかりだったからだ。

 レイは優雅に一礼すると部屋から退出した。




 レイのいなくなった部屋で二人の先生の言葉が交わされた。

「私、はっきりと言わせて頂くと彼女の課題は絶対に失敗すると思っていました。ですが、彼女の説明を聞くうちにどんどんその内容に惹かれました。薬学に携わる者としても、一教育者としても、あの資質はある意味アルシアや、現双黒の賢者とその姉であった者に通じる所があります。その域の資質、カリスマ性があります」

「確かに、先生に言われる通り彼女は良くも悪くも周りを惹き付ける才能があるのかもしれませんね。〔トリグル〕と深い付き合いがある者など・・・。一度、彼の一族の者に会った事があるんですが警戒心がとても強くて面倒事には首を突っ込まない、他人とは関わろうとしない方達でした。それは小さな子供にまでおよんでいました」

 とそれぞれの感想を漏らす。そして、レイ達の課題の結果が楽しみになった。

 ロアーク先生の手元にある書類に先生は早速、許可の署名をした。

 


 

 

 

 


 


 

 ちゃんと許可が出ました。レイの口八丁手八丁で許可まで漕ぎ着けました。

 レイの人脈は広く、ファラルが上級悪魔で霊血者でもあるのでそっちの方でも人脈を持っています。

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