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血の契約  作者: 吉村巡
41/148

40:入学準備

 通知が届いてから、入学までの間に何十もの書類を書き、幾度となく必要なものを揃える為に町に出向いた。

「入学手続きは済んだ。学年も決定してる。教科書のリストも貰ってるし、服を注文する所もこれから行く。後は・・・」

 ロリエが歩きながら呟く。隣にはレイが居る。

 他の皆は仕事やたまった仕事を片付けている最中だ。

「まずは、制服の注文で《苑麗帝》[えんれいてい]に行かないと・・・。レイは自分のスリーサイズ分る?」

 ロリエの言葉にレイは首を横に振る。ファラルがぴったりの服を出してくれるので買う事は無いからだ。ファラルはレイのサイズを測った事が無いのに何故知っているんだろう?とレイは初めて疑問に思った。

「そう、今まで服どうしてたの?」

 ロリエの疑問はもっともだが、レイにもその理由は分らない。

「ファラルがいつの間にか買って来たか、作っていたかです。正確に測りはしませんが目で見て大体のサイズが分ったみたいですから」

 とロリエの質問には適当に答えておく。

 ロリエはちょっとレイに質問しようかと悩んでいたが、結局無理矢理自分を納得させその事についてこれ以上触れる事は無かった。

「採寸した後に注文して、その後本屋さんに言って教科書の注文して、町の見学でもする?」

「用事、それで終わりなんですか?」

 ロリエの言葉にレイが返す。

「うん、今日はそれ以外に無いから。用事はすぐに終わると思うし、帰ってもする事無いでしょう?それにレイは町を回った事無いって言ってたよね?」

 ロリエが言った言葉にレイは頷く。

「だから、良い機会かな〜って思って!」

 レイの方を見ながらロリエが笑顔で言う。

 レイは微笑んで何も言わずにロリエの顔を見返した。




「すみません、この子の採寸お願い出来ますか?」

 ロリエは《苑麗帝》に入り店の奥の薄暗いカーテンの引かれたに通されるとレイの方を向いて店員にそう言った。

「分りました。それでは彼方でこの服に着替えて来て下さい採寸はここでやります」

 店員は笑顔でそう言うと店の奥にある小部屋の方を指し、薄手の採寸専用らしい服をレイに手渡した。

 レイは大人しく言われた通りに言われた通りの事をした。

 着替えて部屋からでて来たレイは胸元にいつか見た刻印だけが別の意味で異彩を放っている。

「あの・・・どうかしましたか?」

 そのに居た店員全員がレイの胸元の刻印に目を奪われていた。

 全員が微動だにしないのでレイは少しの沈黙の後で戸惑っているように全員に声をかけると、

「あっ、申し訳ありません。直ぐに採寸いたしますね」

 店員の中でも古株であると思われる年齢の女性が一番に正気に戻り、他の店員に準備を促した。

 レイのスタイルはかなり良かった。

 背丈は年齢にしては高く、体は育ち過ぎている程だ。

「スリーサイズは、B82 W47 H55 ですね。背は163センチ。12学年ならば16歳ですか・・・。正常値の範囲内ですね、若干身長は平均以下ですが」

 店員の言葉にレイとロリエが同時に訂正を入れる。

「「いいえ、私(彼女)は飛び級なので13歳です」」

 その言葉を聞いて店員さん達は一瞬固まった。

 内心がロリエにはよく分る。

(13歳であの体はね・・・羨ましい。しかもまだ育つ余地がある)

 最初にレイの姿を見た時に思ったのは刻印の事よりもレイの発育だった。

(私よりウエスト細い上に胸も大きい)

 その事で少し年上の女としての自信が少しなくなったのはロリエだけの秘密だ。


「採寸は終わりましたので制服発注の為の書類を書き込んで頂きたいのですが」

 服を着替え終わったレイは採寸の時に着ていた服を近くに居た店員に渡すと、最初に服を着替えるように指示してきた店員にそう言われ、数枚の書類と一本のペンを渡された。

 椅子を勧められたのでレイは既に何かを書き始めているロリエの向かいに座り、書類にペンを走らせる。

(学科は普通科、機関は中等機関、入学試験種類は特別編入試験、年齢13、学年は12学年、スリーサイズは上から82・47・55、身長163、靴のサイズ23・・・・・)

 頭の中で考えながら書類に次々と書いて行く。

 数分も経たないうちに書類は全て書き終え、店員さんに渡すとロリエも終わったらしく書類を渡している。

 ロリエの方はお金や受け取り方だろう、とレイは推測した。

「これで終わりかしら?」

 ロリエの言葉に店員が肯定の意を示す。

「では、行きましょうレイ。次は教科書の注文に行かなくちゃ」

 そう言ってロリエが立ち上がると、レイもロリエの後を付いて行く為に立ち上がり迷わないようにロリエの後を歩き出した。

「ありがとうございました」

 店から出る直前、店員さんに声をかけられ微笑んでからレイは店の外へ出た。




「ここはこの辺では一番大きくて品揃えの良い本屋さんよ。他にも古本屋さんが近くにあるけど品揃えはここ程ではないわね。古本屋さん新しい本は入るのが遅いし」

 ロリエはレイにそう言ってレジの方へと進んで行く。

「注文したらしばらくここで時間をつぶす?立ち読み出来る本も結構あるし」

 そう言われ、レイは店内の本の位置を確認する。

 キョロキョロと周りを見回すレイを見てロリエは微笑ましく思い、

「今から見てる?教科書の注文位は私一人で大丈夫だと思うし。私もちょっと気になる本があるから探して、しばらく経ったら探しに行くから」

 笑いを噛み締めながらそれでも隠しきれないロリエの表情に赤面したりせず、レイは一度、

「良いんですか?」

 と断りを入れ、ロリエが頷くと、

「じゃあ、お願いします!」

 と嬉しそうに言ってお目当ての本を探す為にロリエから離れて行った。


(紅の月)

 レイはロリエから離れると表情をガラリと変えて無表情になり、冷めた瞳で手近にあった本棚に近づいた。

 昔読みかけで終わった本を先程見つけたので読もうと思ったのだ。

 紅の月、と言う題名の本は約600ページある。レイが読んだのは164ページまでだった。

 読みかけだった164ページを開くとそこからパラパラと紙を捲っていく。

 5分も掛からず本を捲り終え、レイは本を閉じて本棚に戻した。

 読み終えたのだ。

(この棚には読ん出ない本がもう無い)

 レイは一瞬でそれを確認すると、その隣の棚を見た。

 読んでない本が10冊程あったのでその全てを抜き出して、手元に置く。先程お同じようにパラパラと瞬きの回数ずつ捲っていく。瞬きをすると同時に捲るので読むスピードはかなり速いと言える。

 10冊はあっという間に読み終えた。

 元あった場所に正確に本を戻すと、次の棚には読んだ事の無い本が無かった。それを繰り返すうちに元居た列から6程離れた所に来ていた所で、ロリエがレイを探しに来た。

 ロリエの手元には本が何冊か抱えられている。

「欲しい本ある?あるんなら買っても良いんだよ」

 ロリエにそう言われるが、

「いえ、特に」

 とレイは答えた。お金を持ち合わせていないし、他人に施しを受けたいと思っていないからだ。

「心配しなくて良いよ、私かお金出すんだから」

 ロリエの言葉にレイは心の中で、

(予想通りの言葉が来た!)

 と投げやり気味に考えた。

「良いんです。立ち読みだけで十分ですから。それに買って頂く訳には行きません」

 レイはしっかりと自分の意見を主張した。

 ロリエは何かを言いたそうだったが、納得して、

「分ったわ。じゃあそろそろお店を出るからこの本を買うまで少し待っててね?」

 と言ったので、

「わかった。外で待ってるね」

 とレイは答えてロリエの足音が聞こえた頃から読む速度を上げて読みきった本を手早く棚に戻すと、店の外へと出てロリエが出てくるのを待った。




「ごめんね?お待たせ」

 ロリエが鞄に入れた本を入れてレイの元へとやってくる。

「そんなに待ってないですよ?」

 と儀礼的にレイは言葉を返した。

 実際にそんなに時間は経っていない。

「それでは、早速町の散策に出かけますか〜」

 柔らかい口調でロリエが言うと、歩き出した。レイはその後を付いていくだけだ。

「あっこの服レイに似合いそう!」

 ロリエがショーウィンドウに飾られている服を指差してレイを振り返る。

 指差した服はレイの趣味には合わないやたらとフリルの多い甘いドレスだった。

(ロリエの妹に対する着せ替えの趣味が表れてる。着たく無いな、こんな服・・・)

 レイは遠い目をしてそんな事を考えた。

 だが、レイは嫌っているがレイは基本的に着こなせない服は少ない。どんな装飾だろうと色だろうと酷い服でも見苦しく無い程度には似合うのだ。(相性が良ければ似合うどころではないが・・・)

「ロリエ、もしも私の為にこんな服用意されても着れないからね、ってことを予め言っておくね?」

 レイはロリエにそう忠告した。

 あらかさまに残念そうな顔をされたが、

「はーい」

 と拗ねたように返事はしてくれた。

「何か食べて帰る?甘いもの。良い所知ってるんだ〜」

 レイは頷くと嬉しそうにお目当ての店に向かって歩き出した。


「ねぇねぇ、何頼む?」

 ロリエがキラキラとした瞳でレイを見つめてくる。ロリエの方があれも良い、これも良い、と優柔不断に悩んでいるのに人の事を気にする。

「そうですね、フルーツパフェにクリームは少なめにしようかと」

 レイは甘いものが好きと言う訳ではない。

 ロリエは、レイの言葉にパフェも良いな〜、と悩み続けていたが結局、

「フルーツパフェのクリーム少なめを一つと、フルーツタルトを一つ。飲み物はミルクティーのホットとリンゴとマンゴーのミックスジュースをお願いします」

 メニューを指しながら注文を取りに来た人にロリエがそう言って注文する。

 注文を取りに来た人は男の人だった。

 その事にレイは気付き、ちらりと周りを見回すと周りの男の視線を一身に浴びていた。

 その事に気付き、レイは今近くにファラルが居ない事を思い知った。ファラルが居ればレイは周りの視線に気付く事は無い。ただ、周りの者の気配にだけ気を配るだけだ。他人の視線など気にはしない。

 レイは一気に周りの感情を拾ってしまった。

(あ〜これは、キツイ・・・)

 暢気にそんな事を考えながら、表面上は変わらずにパフェが来るのを待っていた。

「あっ、来たよ」

 ロリエの言葉に視線を向けるとお盆に乗った皿の上にはレイ達が注文したものが乗っていた。

 レイ達のテーブルの上に注文の品がのった。

 ロリエが早速フルーツタルトに手を付ける。

 レイも吐きそうになっているのを堪えてフルーツパフェを平然と美味しそうに食べていく。実際には味どころの心境ではない。

 二人が殆ど食べ終わり飲み物を飲みながら談笑していると、昼間から酒を飲んでいるらしい30代後半の男達が大騒ぎしながらレイ達の居る店に近づいて来た。

 そして何を思ったのか店に近寄ってくると勝手に椅子に着き酒をもってこいと騒ぎだした。

「昼間から酔っぱらい?」

 ロリエが不愉快そうに男達を見ている。

 客も店員も困っているらしく何とか帰そうと交渉していた。

 だが、男達は店員の態度をどう取ったのか逆ギレして店員に殴り掛かった。

 

 ガシャン バーン ドンッ


 皿が割れる音とテーブルに店員がぶつかる音テーブルと椅子が倒れる音とがレイの耳に不快に聞こえ、周りを意識していなかったレイは初めて男達の方に視線を向ける。

「ちょっと行ってくるね」

 ロリエがレイにそう言うと、酔っぱらいの男達に近づいていった。

(正義感も良いけど、こんなとこで大掛かりな魔術は使えないのに・・・)

 無鉄砲なのはそれだけ正義感が強くて素直だと言う事だ。

 一応パフェを奢ってもらった身としては恩を返したいと思う。例えロリエが気付かなくても。

 ロリエが段々と近づいていくのに気付いたらしい男達がニヤニヤしながら店員を殴る手を止めた。

「お店に迷惑をかけるのは止めて下さい。理由無く店員さんを殴ったのもいけない事です。昼間からこんな事をしでかすなんて悩みがあるならお酒や暴力に逃げないで下さい!」

 堂々と啖呵を切るロリエにレイは内心苦笑した。

 そして漸く、今大掛かりな魔術が使えないと気付くと固まった。

「・・・・・・」

 ロリエは引っ込みがつかず無言で冷や汗をかきながら俯いた。

 魔術は使える事には使えるが被害が他に及ぶ可能性がある。

(あ〜あ)

 レイは内心で呆れたように溜め息をつくと、少しずつレイの受けている感情を男達に移していく。レイは自分の負担が減っていくのが分る。

(楽)

 レイはまずそう思った。

 ロリエに掴み掛かろうとしていた男は突如バランスを崩し転倒する。その弾みで積み木倒しのように男達が倒れていく。ロリエにはぶつからないように綺麗にバランスを崩し頭をぶつけるのだ。

 レイは笑いながらその場面を見ていた。吐き気は完全に収まっていた。

 軽やかな動作で椅子から立ち上がるといまだ状況を理解出来ていないらしいロリエの手を引いて、

「きっと酔いがまわってバランスを崩したんじゃ無い?面倒な事にならないうちに行こう。自警団の人はもう呼んでるみたいだし」

 レイがロリエにそう話しかけ、ロリエは漸く正気に戻ったらしく店員に伝票と代金を渡すとそそくさと二人はその場を離れた。

 レイはロリエには気付かれない程度にだが注意深く周りを見ていた。

(その辺にシルフが飛んでるってことは、ヘルスがロリエを監視してるって事だからあの男の人達はヘルスに何かされるだろうな)

 漠然とそんな事を思い、不意に歩きながらロリエに対して口を開いた。

「もう少し考えた方が良かったね。あんな所でサポート無しに魔術が使えるわけない、って。正義感が強いのは良い事だけどそれだけで物事は解決しないよ?」

 レイはロリエの手を引いて店から離れて行く中でロリエにそう忠告した。

「正義を振りかざして人を諌めようと思っても、声が届かない人は居る。逆に理不尽に襲ってくる人も居る。どう足掻いても駄目な事だってある。人間は何の為に考える力があると思う?自分を守る事が出来なければ誰も救えないし、空回りして逆に迷惑をかけてしまう」

 レイの言葉は淡々と続く。

 ロリエの手を離さないようにだが、力を入れすぎないように掴んで居るレイの歩調が緩まる事も無い。

「さっき偶然あの男の人達が自滅してくれてなかったらロリエの選択肢は大きく分けて2つ」

 レイはそこでやっと歩くのを止めた。歩くと言ってもレイの歩調はとても早くロリエは殆ど小走りのようについて来ていたので息が少し上がっていた。

 レイはロリエを振り返った。レイの顔は何の表情も浮かべていなかった。ただ、真っ直ぐにロリエを見つめ感情を込めていない声で確かめるかのように二つの選択肢を呈示した。

「1つ目は、犠牲を厭わず自らの正義を貫くという選択。2つ目は、自らの正義よりも犠牲を厭い相手の言い分を呑みされるが侭になるか。・・・・・・ロリエは絶対後者だよね」

 言い切りの口調でレイはロリエに対してそう言った。

「貴女みたいな人は、きっと一人では生きられない。ロリエにはロリエを守ってくれる人が必要よ、ロリエだけを見て一番に大切にして愛してくれるような人が・・・。貴女は本当に、私とは全く違う存在だね」

 レイは最後に呆れたようにロリエに囁くと、

「・・・さて、言いたい事は言ったから古本屋さんに行ってみたいな?」

 ねだるようにレイがロリエにお願いすると、今までレイの変貌に唖然としていたロリエはいまだレイの変化に戸惑うようにして、

「そうね、行きましょうか」

 と自分を納得させるように呟いた。



 レイはロリエがいまだレイの言葉を気にしている時、既にロリエに言った言葉に興味を無くした。今となっては何故言おうと思ったのかと言う理由さえ思い出すのも億劫だ。

 ロリエが先導してくれる後ろを今までと変わらない表情で歩いていく。

 初めての町に少しの躊躇いと好奇心を表情に貼付けて目当てのモノの気配を感知しようとしている。

(わかるのに、少し混み入った感じがする。雑念はを完全に消すと魔術を使わないと気配を辿れないから面倒だし・・・少し位は我慢しよう)

 レイは心の中でそんな事を考えていた。

 そして、その時は不意に来た。まるで雲が強い風によって移動し隠れた太陽がその光を、暗かった地上を照らすように、陰が光に照らされるかのように。

 近くに古本屋が見えるが、人通りの少ない所にある人が一人通れるだけのような道の先にそれはあった。

(今度、ファラルと一緒に行こう)

 レイはそう心に決めた。この記憶を忘れる事は無い。

 ロリエに不審に思われないように足を止める事も、その道のさきにあるものにずっと視線を向ける事も無かった。

 


 古本屋では立ち読みが主だった。店内にはロリエ達の他に数人が本を物色していた。

「この地区には本屋さんよりも古本屋さんの方が多いの。学園地区の一つだから。さっき行った服屋さんは本店が他にあるのよ」

 と、まだ酔った男達に関わる前にロリエがレイに教えてくれていた。

 レイはそんな事を思い出しながら本を捲る手を早めた。もう十数冊は読んでいる。

(・・・・・・)

 レイは本を捲る手を止める事無く物思いに耽った。

(学校、行きたく無いかもしれない。周りの人達がうるさいし、あの者達には目立つ。気がする)

 今更そんな事を考える。もう戻る事は出来ないのに、出来る事は出来るが手続きが面倒になってくる頃に。

(あ、そっか。少し脅しておけば良い)

 本を読んでいて丁度その場面が出て来ている。

 因にレイの読んでいる本の題名は、『拷問 〜過去にあった悲劇 人々の叫び〜』と言う物だった。傍目に見れば天使と見紛うばかりの容姿を持つレイが読むには、あまりにも異質と言っても良い程の本の題名だった。

 その中でどんな場面にも顔色一つ変えずに読み進めていくレイにはこの様な本は既に何十冊も読んでいる。

 読んでいる内容のどれかを実践してみたいと思いながらレイは読みきったその本を閉じて棚に戻した。

 

 一週間後には学園の制服が届く。

 入学はその5日後だが、学校に事前確認の為に行かなくてはならない。

 入学してからもファラルに余り会え無い日々になるだろう。ファラルには仕事を優先させるように既に指示しているので何時も近くに居る事は無い。

 レイにはその事がどうしようもなく心細かった。

 ファラルにしか・・・近しい人にしか見せない、自分の心の弱さを自分の中に閉じ込める為に不安による恐怖感の発散は必要になる。

「少し暴れよう、かな?」

 レイは誰にも聞こえない声でふと思いついた事を暢気に呟いた。


 





 


 

 


 ヘルスはロリエに近づく害虫(危害を加えたりロリエに言い寄る男の総称:ヘルス談)を駆除する為にシルフ(風の精霊)を監視につけています。

 風=空気なので何処に居てもヘルスにロリエの居場所が分ります。

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