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血の契約  作者: 吉村巡
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23:テスト終了

 ファラルはこれから明日する筈だった魔力検査と属性を詳しく調べると言っていた。

 レイはロリエと共に、今日の大半を過ごしている部屋に戻り、テストを再開する。

「次は七年生のテストよ、今までよりも難しいからね?」

 

 普通学校は、1〜6年生分を一区切りと考える。そして、それから7〜12年までをもう一区切りと考える。

 そして、その後、もっと学びたい者は試験を受け高等機関に入り知識を深め、それから就職する者。高等機関でずっと研究をする者等がいる。

 12年生まで学び、試験を受け仕事を始める者、実家の仕事に帰る者など多岐にわたる。

 そして、家の都合で6年生までしか学校に来ない者もいる。

 もちろん、どの学校でも学年でも退学や飛び級があるし、先生に気に入られ助手にされる事もある。


 学びの内容が高度になものに変わるのが7年生からだ。

 ロリエとしては、年齢的にもこの学年から始めるのがいいかな?と思っていたのだが、レイの頭の良さを知った後、7年生では不十分と思い始めていた。

「始め」

 何度目かの台詞。

 テストの始まりを告げる言葉。

 レイの用紙に答えを書き込む音だけが目立つ。

「出来ました」

 ものの数分で一枚目を終わらせたレイは次の用紙を要求した。

 答えを書き込む音に、ロリエが一枚目を採点していく音も重なった。

(また完璧・・・)

 ロリエは簡潔に正確に丁寧に書かれた過程と答えを見てそう思った。

 レイは一度もミスをしない。わからなくなり、答えを書き込むのを止める事も無い。

 質問してくる事が無ければ、必要以上に喋りもしない。

「出来ました」

 レイが一枚目を終えたのから数分もしない内に、二枚目を終えた。

 この分では、三十分以内に終わりそう、と思いながらレイに三枚目の用紙を渡した。



 それからも、レイの答えは完璧で、12年生の問題も軽々と解いて行く。

 本当に、学校に行く意味が無くなってしまった。

 そんな考えと同時に、レイとファラルに疑問が湧いて行く。

(レイも、ファラルさんも、何者なのかしら?こんなにすごい知識を持っているのに旅人をしているなんて・・・)

 殊更、ファラルの方に疑問が集中する。

 何者なのか?

 何故旅人をしているのか?

     :

     :

     :

 考えれば考える程、二人には謎が多く、疑問は底なしに湧いて来る。

 だが、その全てを聞く事は出来ない。

 考えを中断し、アルに報告する事を考えだしたロリエは、今度はアルに何と言えばいいのかに、頭を悩ませた。

(レイの頭は普通学校以上のモノだし、学校に行く理由が無いじゃない!!でもそうなったら本当にレイは館で働くって言うわ。高等機関に行って伸ばして欲しい頭を持ってるのにっ!)

 ロリエは悩んだ。だが結局アルに任せる、と言う結論に達してレイに結果を言わないようにしてあるに結果を渡す事に決めた。



 結果報告の為アルの部屋を訪れると、何かを書いていたらしいアルが気付き、話しかけて来た。

「そっちも終わったか?」

 アルの言葉にロリエもレイも頷いた。

「アルの方も無事終わったんだね」

 ロリエの言葉に、アルは深い溜め息をついた。

 ファラルも後の二人もいない。ファラルに合う、制服の申請に行っているらしい。

「正直、何故ファラル殿が漆黒の者では無いのかが不思議だ。しかも魔術学校に通っていなくてあの実力とは・・・天才で、もしかしたら漆黒の者かそれ以上の強さだった」

 遠い目をして語るアルにレイは当然だ、と思っていた。

(ファラルが人に負ける筈が無い。それは漆黒の者であろうと高位の悪魔であろうと、敵わないものが極端に少なすぎる)

 魔界の王や、神様とか・・・そういう極端な者達ばかりだ。

 異界の下手な神よりも強いだろう。

 そんなファラルがレイを契約主に選んだのには、どんな理由があるのか?それも又、限られた者しか知らない。レイさえも知らない。

「それよりも、ロリエ。レイの結果は?」

 ロリエはちらりとレイを見た後、アルに近付き耳元に顔を寄せて小声で、

「学校が必要ない程、優秀よ」

 と囁いた。

 アルはロリエの言葉の意図を考えすぐに思い当たった。

「そう、か」

 アルも悩んだ。きっとレイは高等機関に入るのを断るだろうという事は予想出来た。

 アルの考えはロリエと同じ事を考えていた。

 “埋もれるには惜しい頭脳”

 アルは解決策を考えた。 

 どうすればいいか?どうなればいいか?

 そして、結論を出した。

「レイは、10年生から始めよう」

 その言葉はレイにも届いていた。

 10年生、その学年の平均年齢は16歳だ。そしてレイの外見は16歳前後に見える。丁度いい。

「学力は十分だ。明日からは学校を選ぼう」

 アルがそう話していると、ファラル達がアルの部屋に入って来た。

「アル、ファラルさんの制服、来週には届くって」

「そうか、ご苦労」

 ヘルスの告げた言葉に労りの言葉を三人全員にかける。

 ファラルは相変らずの無表情で、沢山の事を今日一日でこなしたのに疲れた様子が全く見られない。

 そしてそれは、レイに対しても言える事であった。

「ファラル殿、レイのテストの結果から中等機関の10年生が妥当だと判断した。学校はまだ決まっていないが明日には候補を選出しようと思っている。異論は無いか?」

 ファラルは鷹揚に頷いた。

 基本的に無口な人だ。ベクターよりも無口かもしれない。

 考えが読めない者はアルにとってファラルは苦手とするタイプの者だった。

 

 

 


 

 ファラルを得意とする人は希少なので、アルの反応は当然の事かもしれません。

 レイはファラルといると落ち着く、というとても希少な人です。

 はっきりと言えば、レイもファラルも危険な考えの持ち主であるような気がします。

 

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