0:プロローグ 運命の契約
「お前が良い。あのような人間共よりな」
そう言って彼は私を見下ろした。
その魔性の瞳を虚ろな目で見返す少女は赤黒く染まっていた。
「血の・・契・・・約?」
「あぁ、どうする?そのままだと・・・死だ。どちらを選ぶ?」
彼はさも愉快そうに言った。
少女は笑った、その笑いの中に何があるのかは分らない。
ただ笑った。
「どちらでも」
少女と彼の身体を染めている赤とは対照的に少女の顔はどんどんと青くなっている。
「決まりだな」
彼は少女の首筋に噛み付いた。
溢れ出す血と比例するかのように、少女の顔には赤みが差して来た。
「まるで、ゾンビね。生きろと言うの?私を悪魔憑きにしてまで」
口調も息もしっかりとしてきた少女は、悲しそうに、そして非難するように悪魔に言った。
契約が終わり口元を無造作に拭いながら、
「死にたがっていたからな」
と言う悪魔に。
「じゃあ、慈悲ついでに服とお湯が欲しい。服は無いも同然だし、血を流さないと人前にでられない」
その言葉を聞いて、彼は笑い出した。
彼が指を指すと、そこにはお湯と服があった。
「お腹も空いた、食べ物もよろしく。でも、術で出さないでね」
これが、出会いで始まりだった。
2作目です。気が向いた時にしか書きませんので、更新はとても遅いです。完成するかも分りません。