人員確保とあの日の約束
久しぶりの投稿です!テストが終わりましたので~。
「なぁ、頼むよ......」
俺、鳴瀬裕人はそう言い、彼女に詰め寄る。
「えー、なんでそんなめんどくさいことをわたしがやんなきゃなんないのさ」
彼女、俺の妹である鳴瀬美亜は俺を見上げながらそう言う。
やれやれ、まだ折れないのか。だったら仕方ない俺も本気を出すしかないようだな。これもアレの為だ。お兄ちゃんの本気を、見せてやる!!
「じゃあ、これでも?」
——ドンッ。
「え?」と美亜がすっとぼけた声を出した。あの美亜がこんな反応を示すとはな。非常にレアである。
——どうだ!これが俺の本気だ!
ちなみに俺が美亜に対してやったことは、まぁ音で大体わかるだろうが、壁ドンである。
「お、お兄ちゃん......さすがにダメだってば」
お?美亜の反応が案外いいぞ!?これは、ゴリ押しでいけるんじゃないか!?
俺は調子に乗り、美亜を一気に攻めていく。
「んん?何がダメなんだい?子猫ちゃ———— んぐぅぅ!??」
「ちょっと、調子乗りすぎ。お兄ちゃんのくせに生意気だよ」
なんだ......これは?痛みというのはわかるが、痛すぎてどこが痛いのかわからないぞ......?なんだろう......この何か大切なモノを失った感じは。
「——って、股間でビックバンがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅぅぅぅぁ!!」
「おめでと、新しい星ができるね。人は住めないけど」
「多分もう出来たよ!二つの星が粉々になったわ!残ってんの棒だけだよ!」
マジでヤバい。そっか、壁ドンしてると股ってノーガードになるんだよな。調子乗りすぎたか......。もう女になろう。男の威厳を失ってしまってはもう生きていく気力がない。
「調子乗ったお兄ちゃんの自業自得だよ」
「でもぉ、あのままゴリ押せばいけるんじゃないかって思えてさ......」
「やだよ」
頑な(かたくな)に嫌がる美亜。それでもあんな啖呵を切った後だ。ここで説得できませんでしたなんて申し訳ない。
「頼む、美亜!生徒会に入ってくれ!」
——そう。今までのやり取りは美亜に生徒会に入ってもらう為のものだったのだ。
俺が兄としての威厳を捨て、こんなにも頼んでいるのに美亜がOKサインを出す様子は全くない。
「そもそも、なんでそんなに面倒くさいって思うんだ?」
「だって、なんでわたしに全くメリットのないことをしなきゃならないのさ」
う。そこをつかれると困る。んー、美亜に対してメリットがあることなんて......。
あ、そうだ。
「美亜、生徒会に入ってもお前にメリットがないわけではないぞ?」
「? どーゆう意味さ」
「美亜に対するメリット。それは......」
「それは?」
「生徒会に入れば、これから毎日、朝昼夜の三食におかずとしてトマトがつく」
「うん、もうこれは入るしかないよね。もちろん入るよ絶対に」
すまない美亜......お前の弱点を突かせてもらったぞ。
美亜はトマトが大好きなのだ。そうだな、どのくらい好きかというと「お前の好きなもの買って来ていいぞ」と言ったら冷蔵庫全てがトマトで埋まっていたほどだ。あの時は本当にビビったね。冷蔵庫が赤かったもん。
まぁともかく。これで美亜を生徒会に入れることが出来たから、あと二人入れられればOKだ。
一人は会長の幼馴染がいると言っていたから、もう一人。だが、俺には入ってくれそうな『友達』がいるのだ。
さっき電話してみたけど忙しいみたいだったしな。そろそろ電話が掛かってきてもいいんだが......。
そんなことを考えていると不意に携帯が鳴った。
——お?来たか!
「もしもし——」
◆
あれは、そう。彼女と、天ヶ瀬有希葉と初めて出会った日の放課後、屋上で交わした二人の約束。
あの約束のおかげで俺たちは——。
少し少なめですが、すぐ更新する予定なのでご安心ください。
なんかずっと前回から引っ張っていた約束の人物は天ヶ瀬有希葉ちゃんでした!(気づいてた人もいただろう)そして本編続けて「もしもし——」で終わるというこの感じ。手抜きではありません(笑)
次回はハイ欲四話「君を知らないと」で語られなかった屋上で裕人と有希葉があの後した約束の内容について書いていきたいと思っています!次回もよろしくお願いします!!