特別編 : りあるの事情
「遅いな……」
この作品、『ハイスペック?いいえ、欲望に忠実なだけなんです!!』の主人公である俺、鳴瀬裕人はそう呟いた。
「どーしたの、お兄ちゃん。そんないかにも悩んでますみたいな顔してさ」
「いや、悩んでるんだよこの顔は」
妹である鳴瀬美亜にも突っ込まれたが、俺は今悩んでいる……というか、困っている。
「俺たちの恋の行方などを描く学園ギャグラブコメということをうたっているこの作品、略して『ハイ欲』だけどさ」
「うん」
「更新頻度、遅くないか?あとギャグもあまり入ってない気がするんだが……」
俺はずっと思っていたことを打ち明けた。これを言うのはハイ欲を書いている作者に申し訳ないと思っていたが、今回ばかりは仕方ない。
「あー確かに遅いね。動画とかもそうだけどさ、不定期更新とかマジないよね、って感じになるもんね」
「妹よ、さすがに言い過ぎじゃないか?」
「だってそうでしょ。物語は書き進めないくせにハイ欲のPVは毎日見てます、なんて。こんな扱い受けても当たり前だよ」
ーーうーん……作者は本当に何をしているんだ?PVだけは欠かさず見てるって……なんか怖い。
「ま、まぁ、クソ素人が書く物語がもうすぐで千PVいきそうってのが嬉しいんじゃないのか?単純に」
「それでも締め切りは守らないとね。どこかのダメ漫画家になっちゃうかもしれないからね」
「作者だけじゃなく、俺まで攻撃しないでください!」
ひどい。作者のことに便乗して俺まで攻撃しに来るなんて。うちの妹は容赦ない。
「いっそのこと、PVだけ見てニヤニヤしてる作者は死ねばいいんだよ」
「待て!?何もそこまで言わなくていいんじゃないのか!?」
それはねぇ?さすがにどうかと思いますよ美亜さん?
「いないとは思うけどハイ欲を楽しみにしてくれてる読者さんがいるかもしれないんだよ」
「た、確かに……」
「ま、いないけどね」
「いないのかよ!」
そこまで作者いじめるか。更新頻度が遅いのに怒ってるんだな……。
「と、とりあえず!作者も頑張るって言ってるんだしさ、更新頻度についてはもう攻撃しなくていいんじゃないか?」
「えー、でもきっと作者反省してないよ?」
「? なんでわかるんだ、そんなこと」
なぜ作者が反省していないことがわかるのか、その訳を聞いてみると、
「作者、テスト期間だってさ」
「……」
ということは、当分ハイ欲の更新が……。
「ま、まぁ、作者だって学生なんだしそんな時もあるさ!」
「わたしみたいに学校に行ってなければ問題なし」
「作者はそういうわけにはいかないんだよ!」
◆
「そういうわけで、しばらく会えなくなるかもしれないけど、作者のテストの点数がいいことをみんな祈っててくれ!割と本気で!!」
本当にすいませんっっしたぁぁぁぁ!