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第6話

 するとその瞬間、彼女に取っては心地良い手応えと共に見事にロボットの脚が切断された。

「良しっ!!」

 思わずそんな声が出てしまった程に気持ちの良い手応えを感じたローザの斬り付けにより、バランスを崩したロボットは後ろのブースターを噴射して体勢を維持しようとする。

 だが、ブースターをそんな状態で使おうものなら……。

「くっ!!」

 不安定な挙動を示したロボットの突進を避けたローザが見たものは、壁にぶつかる寸前でブーストの勢いを脚を使ってコントロールしようとしたロボットが、脚を1つ失った為に止まりきれず壁に大クラッシュして自滅した場面だった。


「や、やった……」

 最初はそうでも無いと思っていたのだが、いざ戦ってみると結構手強い相手だった……とローザは安堵の息を吐きながらショートソードを握っている両手をだらりと下ろした。

 しかしその瞬間、今まで忘れていたある事に気が付く。

(あっ、そう言えばハリドさんは!?)

 小型のサポートロボットを引き付けて走り去って行った異世界の刑事の事をローザは思い出し、彼を探しに行こうと足を動かし始める。

(幾ら素手の武術が強いと言っても、あの強度のある材質相手じゃあ……)


 だが、それは杞憂に終わった様だ。

「はぁ、はぁ、はぁ……あっ、ローザ! 無事だったみたいだな!」

「ハリドさん! そちらこそ無事で良かった!」

 息を切らしてハリドが走って戻って来たので、ローザはこれで探しに行く手間が省けた事になる。

「大丈夫でした?」

「3匹相手はちょっときつかったけど、何とかなったよ。ローザもローザでやるじゃないか!」

 やっぱり隊長だけあるなぁとハリドが感心していると、2人のそばに設置されているエレベーターがようやくやって来た。

「あー、やっとエレベーター来たぜ」

「まだ上に行くんですかね?」

「恐らくはな」

 もしかするとエレベーターの中から何かが出て来るかもしれない……と思って2人は身構えたが、エレベーターの中にはまた光があった。


 そしてその光を見て2人が気がついた事が1つ。

「あれ、これってまた色が変わってません?」

「本当だ。さっきは黄色かったのに、今度はオレンジかよ?」

 一体この光の色には何の意味があるのだろうか? と2人は疑問に思わざるを得なかったが、今それを考えた所で分からないだけだ。

「考えても仕方ねーな。とにかくこのエレベーターに乗れって事だろ?」

「そうみたいですね。なら行くだけでしょ!」

 このエレベーターが次に止まったら、今度は一体何が出て来るのだろうか?

 その未知の領域にこれから踏み込んで行く事に一抹の不安を覚えながらも、エレベーターに乗り込んで上を目指すハリドとローザ。


 そうして、エレベーターは1つ上の階の3階で停止。

 今度は如何にもジャングルのイメージがしっくり来る様な、しかし屋内なのは変わらないフロアだ。

 地面は草地になってて柔らかいが、ハリドはホテルで着替えようとしていてスーツのままあのクラウディア砦に行き、そしてそこでトリップしてしまった身なので革靴だと歩き難い。

(ローザはブーツだから歩きやすそうで良いよなー)

 本心でそう思いながら歩くハリドと、周囲の様子に警戒しながら何時でもバトルモードに入れる体勢のローザと言う構図で2人は進んで行く。

 階層ごとにこれ程までに景色の違うこの建物。一体、誰が何の目的でこんな物を造ったのだろうか?


 2人はそんな事を思いながら、ジャングルの様なフロアにはしっかりと道しるべとして矢印の形をした立て札が地面に刺さっているので迷わずにエレベーターホールがある場所まで来る事が出来た。

 ……のだが、2人は何だか嫌な予感がしていた。

「なぁ、ローザ……」

「うん、感じるね……これは明らかに殺意だよ」

 肌にビリビリと感じる、突き刺さる様な圧力がたっぷりの気配の正体。

 この気配……殺意の出所は一体何処なのだろうかと、エレベーターの手前で2人は前後左右上下に視線を巡らせる。


 そして、その気配の出所を先にローザが魔法でキャッチする事に成功した。

「 [ テルス・レル ] 」

 2人が立っている辺りに円を描くかの如く魔法の波動が広がる。

 気配を消す魔法やプロテクトの魔法を無効にしてしまうこの魔法はこの世界でも効果があったらしく、エレベーターの上の壁に開いている大穴に黒いローブの小柄な男が立っている。

「ほう、僕の魔法を打ち破るとはね」

 感心した様子でそのローブの男が2人の前に飛び降り、エレベーターを塞ぐ形で立ちはだかる。どうやらさっきのロボットと同じで、この男を倒さなければエレベーターに乗れない様だ。


 しかし次の男の一言を皮切りにして、2人は一気に劣勢に追い込まれる事になる。

「だけど、そう簡単に行くと思ったら大間違いだからね!?」

 ローブの男は右手に持っているステッキをザン、と地面に突き刺す。

 すると足元に紫の魔法陣が広がり、そこからホラー映画のゾンビの如く人型のガイコツ兵士……いわゆるアンデットと言う怪物を始めとして、小型ではあるものの狼やライオン型の怪物も多数姿を現わした!!

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