成果
奥の部屋には何も無かった。
「あの、ここは?」
「無の間だ。ここで自然の力を得るのだ」
そして、モンクはそそくさと出て行ってしまった。
「え、ちょ、ちょっと待ってください!」
扉を開こうとするけれどもびくとも動かない。……本当に修行をするしかない、ということでしょう。しかし、やり方さえ分かりません。自然の力を得ると言っても全く想像出来ません。
その日、私は一日中何も口にするものがありませんでした。
「あぁ、腹が減った。死にそうだ」
私は今までそこまで贅沢ではないにしろ、普通に食事は摂れていたので、より食事できないということが苦痛でした。
次の日もまた何も食べることは出来ませんでした。3日後もその後も。
そして、一週間経ったぐらいの時だったと思います。私は食事と生命というものを考え、生命の起源も共に考えました。そして、私はその後に意識がなくなりました。
「起きなさい……起きなさい」
声をかけられ私はバッと起き上がりました。
「どうやら、自然と対話出来たようですね」
「え、いえ、私は食事のことしか考えてませんが……」
「それで結構です。私がして頂きたかったのは少しでも生命というものを考えるということなので」
……とりあえずは修行をクリアしたということなのでしょう。けれど、これで力が得られたというのか。
「力は付いているはずです。さぁ、この石を持って庭にある岩を浮かばせてご覧なさい」
モンクの見る先には一メートル程の高さがある岩がありました。
「こんなの持てるはずがないでしょう!」
「手で持ち上げるのではなく、あくまで浮かぶように念じるのです」
ここに来てから信じられないことばかりだが、とりあえずやってみることにする。意識を岩に集中させました。すると、周りの草木や水からエネルギーが石を通じて私の中へ入ってくる感覚がありました。
岩は次の瞬間には浮いていました。