師との出会い
建物の中へ入ると、そこには宙に浮く蠟燭、腕と顔がそれぞれ三人分ある大きな像(阿修羅と言うようだ)が目に付いた。しかし、何よりも私が驚いたことがあった。それは、
「ロバート!!!」
私の消えた親友、ロバートの横たわる姿だった。
「ロバート!起きろよ、おい!おいって!」
何度揺すっても起きない。
「無駄です」
後ろから声をかけてきたのはモンクだった。
「その者はこの世界に来てから常に意識がない」
「どういうことですか?」
「そのままの意味です。意識がないとは言っても死んではいませんが、しかし、この状況が続けば死んでしまうやもしれません」
そ、そんな……。親友に会えたと思ったがこんな状況での再開は全く喜べないではないですか。私は医者ではなくエンジニアだ。どうすることも出来ない。
「そんなことはありません」
!? 今、モンクは私の心を読んできた……のか?
「えぇ、そうです。驚かせて申し訳ない」
やはり、読まれている。
「一体あなたは何者なのですか」
「私は石の力を使役するもの、そして、自然と結び合うもの」
モンクが目を瞑り呪文を唱えると、辺りは暗くなり映像が闇の中に映し出された。そこにはそびえ立つ山々、流れゆく川、銀河といった自然が次々と見られました。
「これは」
「我々の力の源です。ここから全てを吸収し、素晴らしい能力を生み出すのです」
モンクがそう言うと同時に映っていたものは消え、元の建物の中へと戻っていました。
「そして、私は複数の能力を手に入れました。あなたにもその匂いがする」
「私が?」
「えぇ、それにあなたにはこの者を救うという目標もあるはずです」
ロバートを見ながらそう言う。
「あなたはそのために世に蔓延る化物たちを倒さなくてはならない。そして化物の最上位個体の魔神7体を倒す必要がある。」
「話が見えないのですが」
「この者の体を調べたところ魔神の刻印が見られました。刻印がある者は魔神が消えない限り動くことができません」
つまり、私にあの化物を倒せと……馬鹿げている!!そんなこと出来るはずがない!
「ですから、私はそんな力を使えないんですよ」
「いいえ、あなたはできる。だから修行をするのです。さぁ、今から始めましょう」
「……」
私は疑いの目を向けたがモンクはそれを気にせずに更に建物の奥へと進んでいきました。仕方なく私も付いて行くことにしましたが、本当にこんなことで親友を救えるのでしょうか。