寺院へ
サムライについていった先にあったものはジャパニーズテンプル(?)だった。
「ここが寺院というものですか」
「あぁ、そうだ。ここで精神を鍛える」
私は石の力を習得したいがためにここまでついてきたのに何故精神を鍛えなければならないのか。私の表情を見てサムライは、
「石の力とは魔の力なのだ。それを精神が未熟なものが使おうとすればあっという間に石に精神を乗っ取られる」
「では、何故私はあの時力を使用できたのですか」
「それが分かっておれば苦労はせん。初めにも言った通り、石の力が魔力であること以外は何も分かっておらんのだからな」
そんなよく分からないものを使って本当に副作用などがないのだろうか、と思いながらもその言葉を飲み込み、
「では、その……修行というやつを教えてください」
「いいだろう、と言っても教えるのは拙者ではなく、ここの住職だがな。それにこの先の部屋にはお主の望むものがもう1つあるだろう」
望むもの?一体何があるというのでしょうか。若干の不安と期待を寄せ、私は門を開きました。
その先には、一人の髪を全て剃った……ジャパニーズモンクがいました。モンクはこちらを見ておじぎをしながら、
「ようこそ月照寺へいらっしゃいました。雅峰様からお話は伺っております」
「?」
言葉が分かりません。困っている私を見てモンクは私の額に手を当て、首から下げているネックレスのようなものを握りながら何らかの呪文を唱え始めました。
すると、頭の中に次々と日本語の文法や単語などが流れ込んできました。それと同時に頭に凄まじい痛みを感じました。
「な、何をした!」
「あなたがこの国の言葉を理解し、それを使うことが出来るようにしました」
モンクの返答にはっと気付かされる。そう言えば、今自分は日本語を話した。今まで学習したこともない言語であるにも関わらずだ。もしも、この力がこのモンクのものだとすると、何か記憶に干渉するものなのかもしれない。
そして、痛みは徐々に引いていき、完全に収まったところでモンクは、
「ついて来なさい」
静かに私たちは建物の方へと歩き出しました。