19/23
動き出す影
瞬きをすれば、そこは洞窟の中でした。つまり……、
「帰ってきたか」
「……はい」
空気が重い。謝らなければならないのですが、口が開いてくれません。いや、言うんだ。言わなければいけない!
「あの」
「なんだ」
「すみませんでした」
ああ、顔を見ることが出来ません。
「いいぞ」
「えっ?」
間抜けな声が出ました。
「主の心が未熟なのもあるだろうが、敵がそこを突いてきたのは主のせいではない。未熟なところは鍛えればよい」
サムライはそう言って二つライスボールを取り出しました。そして、その一つを私に差し出したのです。
「これは主と拙者の心を繋ぐものだ」
その後サムライは無言で食べだしました。私もそれに続いて食べました。
共に食べることで互いの気持ちが通じた気がしました。私に足りないものが何か教えてくれたのでした。
一方、江戸城内では将軍の側近たちが密会をしていた。
「では、第一の魔神が討たれたと?」
「そうだ」
側近たちは戸惑いを隠すことが出来ない。
「一体誰が」
「全く分からない」
「調査に向かわせろ。それと第一の魔神の遺体回収もだ」
影の部隊が動き出した。