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離脱
「じゃあ、こっちから行かせてもらうよ!」
相手が着物の袖を振ると強風が吹き荒れました。私たちは飛ばされないようにするだけで精一杯でした。
「く、くぉおおおお!」
「と、飛ばされるぅううう」
「……あんた達、大したことないね」
相手は今も袖を振り風を発生させています。風……。私の石を使った時の能力は物体を浮き上がらせるというもの。
「私の能力ではっ、くっ、無理なのかぁああ」
「いっ、かい試してみろろろろ」
サムライはやってみろと言いますが、風に対してどのように自分の能力を使うかが思い付きません。
考えている間に風は鎌のようになり、私たちを傷付けてきました。
「ここは……離脱ぅ!」
ズガン!と自分の目の前で音がして、風は止まりました。いえ、実際は遮ったのです。どういうことかというと、
「地面を引き抜いたのか」
サムライの言う通りです。かなり力業ですが、これである程度時間が稼げるでしょう。さて、ここからどういった戦略でいくか話し合うこととしましょう。