道中その2
それからしばらく歩いていると、サムライが、
「しばらく待っておれ」
と私を置いて前方に見える建物の中へ入っていき、またすぐに出てきました。
「だんごいるか?」
差し出してきたものは、棒に三つのボールのようなものが刺さった食べ物? でした。
「これは、何という食べ物ですか」
「だんごだ、拙者の好物でもある」
なるほど食べ物であることは確かですね。本当においしいのでしょうか。
私は恐る恐るそれを口に運びました。まず食べた感想としては、モチモチしている。ネバネバとしたところもある、今まで食べたことのない何とも不思議な食感でした。味も……うん、いけますね。以前サムライの家でいただいた食事も非常においしかったですし、この国の食文化は嫌いではない、というのが私の感想です。
食べ終えた後は移動を再開しました。サムライに今どれくらい歩いてきたのかを聞くと、
「まだ半分くらいだ」
「は、半分……」
もう、足が動かないくらいに疲れていました。サムライもそれは同じだったようなので、近くにあった宿泊施設(宿というそうです)に泊まることにしました。私を見ると従業員は驚きましたが、サムライが事情を説明してくれました。
「ようこそ、おいでくださいました。ささ、どうぞお部屋へ。」
案内され中へ入ると何だか落ち着く香りが漂っていました。
「では、ごゆっくり」
ん、まだあの従業員はいたのですか。非常に丁寧なサービスだと関心しました。その後は食事をして寝ました。
この世界に来てから初めてリラックスできた日でした。