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ハゲルフ伯爵と7人の子供  作者: みずねこ
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2.沈黙の主は日常に


 ここはゲオルグ伯爵領はくしゃくりょう


 南東を海に面し豊富な業界類と沢山の交易品で賑わう大きな港町が栄えている。


 北を見ると山脈が連なり、そこから出る豊富な高山は人々の生活必需品である鉄や銅、その他沢山の鉱物にあふれ富は人を呼び大きな鉱山街を形成し毎日活気に満ちていた。

 また、山脈の雪解け水や湧き水が大量で小川が河川になり、やがて大河となってゲオルグ伯爵領に流れ込み幾つもの支流となって流れ込んでいた。


 西は、平野で肥沃な大地が広がり、人々の食糧を十二分じゅうにぶんまかない余った食材は、交易へと出され交易路には幾つもの宿町が建てられ多くの商人、観光客で賑わう。


 西北には、巨大な湖(その他にも湖はある)

 この湖は人々の生活水でもあり、西の田畑に使う水の供給源であり、さらに生息する淡水魚が多く取れ、山を背にした風景は絶景で観光地としても有名な湖が広がっている。


 東北には、大帝国であるマグナウィグ 西の先には大魔法皇国のザボカピルムと左右を大国家に挟まれ、各都市国家で生産された沢山の商品、新しい技術で作られた製品が往来し人々に富を落としていた。


 国と呼べるほど広大な大地を持ち、豊富な鉱物、豊富な食糧、豊富な資源の眠るここゲオルグ伯爵領


 そんな大地の中央に大都市が広がっている。

 ここが、ゲオルグ伯爵が支配する都市であり首都

 そして、ゲオルグ伯爵が住まう邸宅が街の中央に存在する。


 そう、街の中央部に……あるのだが……。


 見ると、そこに領主の城は無い。

 あるのは確かに豪華で大きいが、宮殿と言うにはいささ見窄みすぼらしい建物が、街の中央部にポツリと経っているだけ。

 周囲を囲む格子状の塀は低く、高い城壁すらない。

 あるのは、建物まで続く庭園と、まばらに育つ大樹のみ、領主として本当にこの街を、この土地を守っているのか心配になるほど守りに弱い造りになっている。


 それでは、この伯爵領の主を見てみよう。

 彼は今、自室の書斎にいた。


 数多くの書物が、ギッシリと敷き詰められ並ぶ棚

 周囲には、どれを取っても一級品の調度品が置かれ

 床には、かけた体重を押し戻すほどのフカフカな絨毯じゅうたんかれ

 その絨毯の上に大きく分厚い飴色あめいろの木で作られた執務机が置かれていた。


 そして、その執務机の椅子に座るは、この領地の主人 ゲオルグ伯爵が腰を下ろしていた。



 細身の身体で足を組み

 ビッと決まった着こなしのベストスーツ

 何処までも白いワイシャツを中に着て

 1冊の本を手に取り、静に呼んでいる。


 彼の顔は、インテリを思わせるキツさがあり、年齢を感じさせるしわ幾重いくえにも寄っている。

 メガネをかけているので、よりインテリしゅうただよってきそうだ。


 耳は切れ長で、一見するとエルフ族にも見えそうだが、顔がエルフと異なっているのでエルフでは無いだろう。


 髪の毛は、キチンと七三に分けられ油で固められ、もうこれはインテリメガネ待った無しだ。


 そして、彼の最大の特徴であり、一般の人からはマイナスのイメージでしかない特徴がある。


 それは、

 彼の頭頂部が、キレイな O型ハゲ だからだ!


 ええ、それはもう、キレイにハゲ上がっています。


 しかし、そんな彼は、ハゲを気にした様子も無く目を本に向けたまま一心に読み進めていた。


 「………………」


 この屋敷備え付けである古い時計の秒針の音が、静かなこの部屋中に広がっている。

 時おりゲオルグがめくる紙の音だけが聞こえてくるそんな空間。


 「………………」


 何を読んでいるか分からないが、ゲオルグは用意されたお茶すら口に含まず読んでいた。


 「旦那様、そろそろ御時間です」


 何時から、そこにいたのだろう?

 何時の間にそこにいたのだろう?


 ゲオルグ以外の人の気配は、まったく感じられない部屋の入口から声が聞こえた。


 そして、扉の前には、老齢の執事が1人頭を下げ畏まっていた。

 老齢であるが、身形整みなりととのいガッシリとした身体つきの執事

 口元にひげたくわえ、ダンディ感 パネェー(半端無い)


 執事が言葉を掛け数十秒


 この重厚じゅうこうな数十秒は、それこそ数時間、いや、数年を思わせるほど長く感じられた。


 ゲオルグは、それはゆっくりとメガネを外し、読んでいた所にキチンとしおりを挟むと本を机の上に置く。


 「……うむ」


 なぜ、こんなにゆっくりなんだ? と普通なら疑問に思うが、執事は一向いっこうに気にした様子無く主の行動を平伏して待つ。


 メガネを外したゲオルグが、立ち上がりコートを羽織る。

 そして、右手にステッキ手に取り、左手でシルクハットを持つと外へと歩き出す。


 「……行こう」

 「ハハァッ!」


 執事が扉を開けると、ゲオルグは颯爽さっそうと外に向かって歩き出す。

 その後から、執事も付かず離れず主に付き従って歩くのだった。


 動きとろいねん! てやんでぇ、それじゃ、日が暮れて夜になっちまうよ!

 と、西と東から聞こえてきそうだが、これが彼らの日常であり、いつもやり取りのようである。


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