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04.いざ女の子と二人旅!

 おかしい。


 昨日もらった100ゴールドが消え、なぜか50シルバーと50ブロンズしかない。

 賭博には勝った。今までにないくらいに。ただそれ以降の記憶がない。正確には「みんな!今日は俺の奢りだ!好きなだけ飲めやー!!」って台詞以外覚えていない。


 どうして俺はいつもこうなんだ。いやしかしこれから死ぬかもしれない冒険に行くんだ。金はためてもあの世には持っていけないって言うし!!

 そんなこんなで所持金がめでたく100分の1以下になったところで俺の冒険は始まる。


 ・・・いやまだだった。旅のお供、所謂パートナーを忘れていた。


 門扉の下でパートナーの到着を待つ。


「大臣!!パートナーはまだか!?」

「も、もうすぐ来るとは思うんじゃが・・・おお、来ましたぞ!」


「遅れてすいませーーーん!!」


そこに現れたのは大きな鞄を抱えた栗色の髪の少女。


「き、君は70点の()!」

「え?70点?」


 は、いかんつい心の声が。


「ああいやえーっとアンリ・・・だったかな?」

「はい、ヨースケさん。これからよろしくお願いしますね」


 良い・・・

 女の子と二人っきり(※アンデットは除く)で冒険・・・

 良い・・・!


「よろしくな!」


 満面の笑みで挨拶を返す。


「あと俺のことはヨースケでいいよ。さん付けは歯がゆいし。敬語もいらん!」

「わかったわ。ヨースケね!」


 とアンリも笑顔で返してくれる。

 ここから俺の冒険が始まるんだ。やっと俺は物語の主人公になれたんだ。




 大臣に別れを告げ、早速魂喰らいがいるであろう城を目指す。町を出たのは召喚された日以来だな・・・

 あの日はスライムに殺されかけて、俺はこの先絶対に町から出ないぞと心に決めた悲しい日でもある。

 ちなみに光太郎の方はデコピン一発でスライム10体は消し飛ばしてた。


「この道、なつかしい」


 俺の悲しい過去を消し去る様に、アンリの声が耳に入る。

「子供の頃・・・っていってもまだあたし16歳だけど、もっと小さい頃はここでよくスライムを倒してレベルをあげたわ」

「へ、へ~。俺もそんな感じダヨ」


 俺や光太郎が異世界から召喚された人間だと知っているものは城の人間の中でもごく一部だ。嘘はバレないはずだ・・・!


「やっぱりみんな初めはスライム倒すわよね!レベルもたかだか3くらいだし」


 俺は限界までレベルをあげてスライムと同レベルなのか。まじかよ。


「ところでヨースケ。ヨースケは何レベルなの?」

「お、俺?俺は~えーっと60レベルくらいかな ハハハ」

「60!?す、すごい!流石はあの勇者様のお兄さんね。王国騎士団長レベルよ!」


 本当はそこのスライムより弱いです。すいません。


「私は何レベルくらいなんだろう。やっぱ気になっちゃうよね」

「気になるもなにも、才能眼鏡でみればすぐじゃん」


 と俺はポケットから才能眼鏡を出す。


「えっ!才能眼鏡持ってるの!?かなりレアなマジックアイテムよそれ!」


 まじか。面白そうだったから大臣の部屋から持ち出してずっと自分のもののように使ってた。大臣すまん。生きて帰れたら必ず返すからな・・・


「ん?アンリは自分のステータス見たことがないってことか?それなのに自分のスキルとかわかるもんなの?」

「あー、ヨースケはずっと才能眼鏡がある環境で育ってきたんだね。じゃわからなくても無理はないかも。大体の人は自分が何レベルなのか、どんなスキルを持っているかは、はっきりとはわからないの。」

「なのに回復魔法を使ったりできるわけ?」

「ええ。少し長くなるけど説明するわね。コホン!」


 アンリはわざとらしく咳払いをし、説明を始めた。


「才能眼鏡で見れるステータスってのはレベル、限界レベル、スキル、あと職業の4つよね。正確には職業は適正職業なんだけどね。これは本人が知らなかったとしても、大体ステータスと同じ職業になるの。これはもう本人の無意識というか遺伝子レベルで刻まれているというか。あたしの場合はなんか体から力があふれるなーもしかしたらレベルあがったのかなーって思ってたら急に、今のあたしなら回復魔法がうてるんじゃないかって意識が沸いてきたの。それで手をかざして力を込めたら実際に使えたってわけ」

「ああ、それで回復ができるならプリーストになろうって?」

「そういうこと」


 アンリは笑いながら俺を指差す。


 なんていうか、かなりアバウトな世界だな。

 まぁいくら魔法があるの世界でも、レベルアップしてどこからともなく軽快な音楽とともにシステムボイスで ─レベルが上がりました─ とは流石に言われないか。


「ああ、でもスキルに関しては間違った認識をしている人が結構いるのよ」


 思い出したかのようにアンリは拍手を打つ。


「回復魔法がうてたら回復魔法のスキルを持っているってことなんじゃないの?」

「回復魔法がうてるから【治癒魔法:回復】のスキルを持っているとは限らないの。いわゆるそのスキルの上位スキルや複合スキルを持っているパターンね」


「回復魔法だけかと思ったら実は強化魔法も混ざった複合スキルでしたとかそういうのか」

「大正解!回復魔法と強化魔法の複合スキルだと【女神の口づけ】っていう複合スキルになるし、本来対象が1体の回復魔法も上位スキルで対象が複数人になる【女神の抱擁】ってのもあるわ」

「あとはヨースケが持っている勇者様を召還するスキルみたいな、今まで誰も持っていなかったレアなスキル、いわゆる固有スキルなんかもあるわね」


 はあ、なるほどなあ。この世界に来て自分の弱さと理不尽さと賭博の勝ち方(勝てるとは言っていない)しか学んでこなかった俺には大変勉強になった。

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