12.呪われし聖なる剣を持つ魔女って結局聖なの魔なの呪いなの?
なんとか勝った。四方八方から風魔法が飛んでくるなんて怖すぎた。
レインの盾は正面からの攻撃しか防げないので、四方八方からの攻撃には滅法弱い。ただそこを光太郎でうまくフォローして、なんとか俺は無傷で済んだ。
「治癒魔法:【自己回復】」
レインは自己スキルで体力を回復していた。
「自分で回復できるって便利だなー。アンリ要らないじゃん」
「し、失礼な!ちゃんとレイン君に防御魔法かけてるわよ!ねぇレイン君?」
「はい、あんなにたくさんの相手だと、アンネお姉ちゃんの防御強化と回復がなかったら、僕の自己回復だけじゃ回復が追いつきませんからね。あと何故かお兄ちゃんを守るとき、体中から力がわいてくるんです。なんていうか強化魔法をかけられたような感覚です」
愛の力だ。きっと。
「それ、もしかしたらレイン君のスキルかも。才能眼鏡で君を覗いた時、【守る心】ってのがあったのよね。もしかしたらスキル図鑑に載ってるかも」
そういうとアンリはカバンから図鑑を取り出しささっと調べはじめた。一応ここ敵地なんですが。
「あったあった!えーっと【守る心】、守る対象者が弱ければ弱い程、自身の防御力があがる」
「「なるほど、それで・・・」」
おい、なんだお前ら。そんな目で俺を見るな。
「僕、お兄ちゃんならどんな攻撃からでも守れそうな気がします!」
レイン、それフォローになってないぞ。
「そういえば、勇者様が私達を守るためにかなり風魔法に被弾してたわね。勇者様ありがとうございます」
「いや守るように命令したのは俺だし、俺に感謝しなさいよ」
「えー、なんかヨースケ命令してるだけだし感謝しづらいのよねー」
こ、こいつ・・・!
まぁ確かに光太郎がアンデットなおかげでかなり無茶な扱いができる。これアンデットのが光太郎つよいんじゃねーかこいつ。
「せっかくだしボロボロになった勇者様回復してあげるわね。【回復】!」
え?回復?アンデットに?俺が知っているゲーム知識だとそれってやばくない?
アンリが回復魔法を唱えると、光太郎の体が聖なる光に包まれる。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
「こうたろおおおおおおおおおおおおお!!」
「え?」
アンリは何が起こったのかわからない様子で周りを見る。
「あ、あアあァあ・・・」
「回復やめてえええ、光太郎が浄化されそうだから!天に召される前の曇りのない笑顔になってるからあああああ」
光太郎が半分消えかかったところで、回復魔法が止められる。ギリギリのところで光太郎は昇天されずに済んだ。
「アンリさん!?アンデットに回復魔法したら昇天しちゃうよ!?なにしてんの!?」
「ご、ごごごごめんなさい!そういえばそうだった。ついつい勇者様がアンデットだっての忘れてた。てへへ」
てへへってこいつ!
「勇者様って無敵だと思ってましたが、こんな弱点があるなんてびっくりです」
たしかに無敵だと思ってだが、アンデットである以上、浄化される可能性があるのを忘れていた。
「けど、回復魔法を使える魔物なんてほとんどいないって昔本で読んだわ。魔族や人族で向き不向きの魔法ってのがあるみたい。ちなみにネクロマンサーは人族にはほとんどいないレア職だけど、魔族の中では結構いるみたい」
流石は我がパーティのウィキ●ディア。魔族に回復魔法使う奴がほぼいないならそこまで危惧するようなことでもないな。ただ、人間と戦うときは注意が必要だ。
「よし、そろそろ先に進もうぜ。さっさと魔女を倒して200ゴールド貰おう」
小休憩を終え先に進もうとしたとき、物影から倒し損ねたのか風の使いが姿を現す。俺達はそれに気がつき、戦闘態勢に入るが、どうやらそいつは戦闘する気はなさそうだ。
「お主・・・もしかして勇者か?」
話しかけられた光太郎の代わりに俺が答える。
「あぁ、こいつは勇者だ、訳あって今はアンデットになっているがな」
「・・・!そうか、やはり生きては帰ってこれなかったか・・・」
なにやらこの子、他のガーディアンと違うし、光太郎が生きていた時に関わりがあるようだ。
「あなたは、勇者様とどういう関係なの?」
アンリも気になったのか、話に入ってきた。
「我のマスターは勇者様が生きていたとき、共に冒険した仲間なのだ。我も何度か勇者と共に魔物と戦った」
「な、なにぃ!?どうして勇者の仲間が城を占拠しているんだよ!」
「順を追って説明しよう。勇者と我のマスターは魔王を倒すため共に冒険をしていたのだ・・・」
風の使いの話によれば、第一次勇者ご一行はまず魔物領に行くため、魔王四天王の一人である魂喰らいのジェイスをまずは倒すことにしたそうだ。
ところが城を目前にして敵の術に嵌ってしまったのか、勇者がひどく弱体化してしまったらしい。
光太郎はそれでもジェイスに挑んだが、弱体化のせいで逆に追い詰められ、最後に身体を張って仲間だけを逃がした。
「戦いに勝てないと悟った勇者は我がマスターに勇者の聖剣を託し、逃げる隙を作るためジェイスに特攻したのだ。そこから勇者がどうなったかは我も知らなかった。アンデットになっているということは、あの時敗れたのだな」
光太郎・・・お兄ちゃんが町で遊びまわってるときに、そんな主人公みたいなことしてたのか。なんだ聖剣って。どこで手に入れたんだ。
「我がマスターは託された聖剣を次の担い手に渡すため旅に出ることを決めたのだ。しかし、聖剣を持ってから我がマスターは日に日におかしくなっていった。我以外のガーディアンもマスターにと同様におかしくなり、新たな国を作ると言いはじめ、この城を占拠したのだ」
「明らかに聖剣が原因じゃねーか!・・・って、聖剣って呪いあるの?聖なる剣なのに?」
「あぁ、どうやら適性のない人間が持つと精神がやられるようだ。だがお主らならマスターの目を覚ませるのではないか、そう思ったのだ」
風の使いはおかしくなってしまった自分のマスターの事を思ってか、すがるような目で「ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛」と唸っている光太郎を見つめる。
「なるほど、一筋縄ではいかなそうだが、どうせなんとかしなきゃクエスト報酬はもらえないんだ。俺達にまかせときな!」
「そうか。助かる。我はガーディアン故マスターに逆らうことはできん。ここでお主らの帰りを待つとしよう」
光太郎の旅のお供ってことは相当なレベルの魔法使いなんだろうな。気合を入れていかないとやばそうだ。
・・・ん?てっきり魔女っていうくらいだから魔法を使う女の魔物かと思っていたが、元仲間ってことは人間だよな?光太郎攻撃できなくない?
あれ、それってやばくない?




