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猫と後輩にご用心!?(仮)  作者: 川越如月
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俺の後輩は可愛くない。でも可愛い。

ご訪問ありがとうございます!

稚拙な部分が多々ありますが、完走を目標に頑張っていきます。

「せんぱぁい、待ってくださいよ〜」

「五月蝿い、早く帰れ」

「一緒に帰りましょうよ、せっかくですから」

「人の話を聞けよ……」


 なんでこうも人の話を聞かないんですかねぇこいつは。もしかして日本語が通じない部族なの? そうなのか?


「あのさ」

「なんですかぁ?」

「俺帰宅部なんだけど」

「知ってますよぉ〜」


 カラカラ笑うなよ。全く。


「お前部活やってたよな?」

「私部長なので〜今日は解散しましたぁ」

「これで部長とか…」

「何か言いましたか?」

「なんでもないです」

「そんなことより早く帰りましょうよ、せんぱぁい」

「……あぁもういいや、好きにしてくれよ」


 どうせ毎日付いてこられるんだ、抵抗するのも体力がもったいない。


「……腕を組もうとするな」

「いいじゃないですかーケチー」

「俺はお前が勘違いされたら困るだろうと思って言ってるんだ」

「え、でももうもっぱらの噂ですよ、私とせんぱいが付き合ってるって。主に私の狼藉で」

「狼藉の使い方間違ってるぞ……いや、合ってるか。てかなにしちゃってくれちゃってんですか」

「日本語の使い方おかしくなってますよ、せんぱい」


 俺とこいつは全くと言っていいほど接点がない。


 なのに毎日のようにいろいろな場面で付きまとってくる。


 俺は自分で言うのもなんだが、陰キャラだ、クラスの中でもおとなしくしている、友達も騒がしくならない程度の人数しかいない。あえてそう望んで、そうしている。


 それに対してこいつは学校一可愛いやら、千年に一度の美少女やら、天使やら。そんなことを日常的に噂されるような存在だ。陰キャラの俺でさえこいつの名前を聞かない日はない程度には。


しかも所属している……何部だったか、忘れたけど部活の部長もやっている。成績だって校内テストの成績優秀者に毎回食い込んでいる。運動神経も良く、たびたび運動部の助っ人に駆り出されるらしい。


 まぁ盲目な思春期男子高校生の噂だからどこまで本当なんだか分かったもんじゃないが。


 とにかく生きる次元が違うような存在だ。そう、俺は思ってる。


「せんぱぁい、何難しい顔してるんですかぁ? こんな可愛い後輩が一緒に帰ってあげてるっていうのに」

「頼んでないし望んでない、これはもし男女逆だったら陰湿なストーカーだぞ」

「あっ! 今日三十一日じゃないですかぁ! みそひとアイス奢ってくださいよ! 半額デーですよ!」

「話を聞けよ…てかなんでストーカーされた挙句アイス奢らなきゃいけないの?」

「私が可愛いから?」

「あっはっは、ぶっ飛ばしてぇ」

「酷いですぅ……でも奢ってくれないとブドウ糖が不足した私の判断力が鈍って口が滑りもう明日には私とせんぱいは一線を越えてしまったと学校中で噂に……」

「よーしみそひとアイスへ出発だ! ブランは可愛いから先輩アイスとか奢っちゃう! ダブル? トリプル? なんならいっそクアドラプルでもいいぞ?」

「いいんですかぁ!? せんぱいちょー輝いてます!!」

「はっはっは! だろ! ばーか!」


 悪態を吐きながらも意気揚々とアイス屋に向かう小娘について行くしかない俺。うーん理不尽。


この国男女平等だよね? 女性にやたら優しい気がするんだけど。法律とかさ。


 ちなみにブランってあいつの名前な。すごい名前だけどここは日本ね。あいつはクォーター、らしい。名前的にフランスだろ。これも噂であいつに聞いた訳じゃないからわかんないけど。てかどうでもいい。


さっきあいつが天使とか呼ばれてるって話をしたけど、ただ可愛いから天使って呼ばれてる、訳じゃない。


 白いんだ。髪も、肌も。そりゃもう天使のように。


 想像上の生物だけどさ、天使なんて。悔しいけど天使って表現はなかなか的を射てると思うよ。


 目だけ金色だけどね。まぁブランって名前の通り、白い。


 しかも形が整ってる。スタイルもいい。美少女だよ。本人には絶対言わないけど。勝ち誇った顔が目に浮かぶ。うぜぇ。


「せんぱい早くぅ」

「はいはい分かってますよ」


 こいつ放課後だってのになんでこんな元気なの……JKって生き物はよく分からん。


 なんてことをぐだぐだ考えているとアイス屋に到着した。


「お言葉に甘えてクインティプルいきますねっ」

「……増えてんだけど」


 頼むだけ頼んだら逃げてやろうかな。


「せんぱい、なんでアキレス腱なんて伸ばしてるんですか?」

「痛い痛い、ちょっと、公衆の面前で肘関節を極めるな」

「すぐに気持ちよくなりますよ」

「え、なにそれ怖い」


 目がヤバイんですけど……どうやら逃げられない、回り込まれてしまった! ようだ。


「〜♪ どれにしよっかな〜」


 アイスの入ったガラスケースを眺めて目をキラキラさせてやがる。いつもこんなんだったら……


「今せんぱい私のこと可愛いなって思ったでしょ?」

「うるさい早く選ばないと帰るぞ」

「否定しないんですねぇ♪」

「アーカワイイカワイイ」

「なにそれちょっとムカつくんですけど……まぁいいです♪」


 女の勘って怖いよね。


「すみませーん! クインティプルのキングサイズのコーンで、下からラムレーズン、バニラ、ラムレーズン、バニラ、ラムレーズンで!」

「お前…変わった趣味してるよな本当。あとアイスコーヒー「とアイスティー1つずつ」」


 ぐぬぬ。


「お会計840円になります、前に進んでお待ちください」


 笑顔で話しかけてくる店員に軽く笑って会釈する。840円とか普通に食べる時と値段変わんないんですけど……まあ俺は甘いもの苦手だから普段食べる時って言ってもこいつの料金なんだけど。


 あれ? なんで俺日常的にこいつにアイス奢ってんの?




「せんぱい! みてくださいよこれ、これが天国ですか……!!」

「ラムレーズンをそんな大量にばくばく食えるお前がよくわからない」


 ラムレーズンって癖あるじゃん? 俺嫌いなんだよね。


「乙女の塔と名付けましょう……いや、いっそブランスペシャルと銘打ってレギュラーメニュー化を……」

「そんなハイカロリーで味の偏ったスペシャル頼む奴はお前くらいだ。それ31日以外は1300円くらいするからな」

「え〜美味しいのに〜」

「太るぞ」

「私、全部胸に行くんですよねぇ……」


 そう言ってわざとらしく胸を寄せる。確かにでかいけどさ!!


「せんぱい、鼻の下伸びてますよぉ」

「嘘だ、そんなはず無い見てない何も見えない明日も見えない」


 とっさに目を閉じちまった、俺怪しいじゃんいやマジで見てないって本当


「えっち」

「先輩をからかうな」

「せんぱい面白いしかわいいから」

「おまェ……」

「せんぱいも早くしないと溶けちゃいますよっ」

「アイスコーヒーは溶けねぇよ」

「早く、目開けてくださいよぉ〜」

「なんだよ」

「はい、あーん」

「……やめろって」


 目の前にアイスを突き出されていた。正直めっちゃびっくりしたんだけど。


「恋人に取っとけ、そういうのは」

「せんぱいがその気になればいつでも恋人になりますよ?」

「先輩をからかうのもいい加減にしろ」

「本気ですぅ」

「俺甘いの苦手だし」

「バニラなんですから我慢してください」

「いやでも」

「早くしないと私の口が滑って…」

「あぁ、滑れ滑れ。どんどん滑れよ」

「口移しになるかもしれません」

「ハイ、あーん!」

「あ〜ん♪」


 こいつ目がマジじゃん!


「ってラムレーズンじゃねぇか!!」

「あははっ♪」


 もう……可愛くねぇ!!



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