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プロローグ。 過去の話。
あなたには恐怖症がありますか?
僕にはあります。
どんなに願っても消えない、トラウマの塊が。
あの日のことを俺は、よく覚えている。
目の前に見えたのは血走った目の母親の顔。
部屋には二人だけ、もちろん母と自分。
その母の手は、まっすぐと俺の首につけられている。
いや、まっすぐと俺の首を絞めている。
冷静な判断ができない俺は、遠くから聞こえてきた、
父親の声を聞きながら気を失った。
あれ以来俺は、女の人が怖くなった。
女性恐怖症になった。
もうあれから10年が経つ。