私の性質
「ゆいな、結菜っ」
目を開けると、そこには慣れ親しんだ友達の顔があった。
ちょっとぼーっと考えて、いや、考えているようで実は考えてなくて。
「んー?」
周りを見渡すと何人かの友達の視線が私に集まっていた。
えっと、うーんと。
ぱっと、頭の中でうにゃうにゃしてた糸がつながって今の私の状況を理解した。
そうだ、お昼寝、だ。
「もう、結菜。次の授業始まるよ」
庭のベンチでお昼ご飯を仲良しの友達5人で食べて、それから始まるガールズトーク。私だって、一緒にまざって聞く専門のガールズトーク。
でも、ふと空を見上げるとあったかい太陽が私を照らしてる。
そんな温もりに包まれてるとみんなの声も子守歌みたいで。
そう、いつも気づかないうちにお昼寝タイムが始まってる。
「お昼寝タイムは終わりですよ、結菜ちゃん」
あきれ気味の友達と教室に戻る途中で、また始まったガールズトーク。
「結菜はちょっと変わってるけどかわいいから彼氏とか作ろうと思えばできるのに・・・。何で作らないの?楓くんは?」
「こないだだって、1年生に告白されてたよね」
私以外の4人の視線が一気に私に集中してどうして良いかわからずとりあえず、うーん、と少し考えてみるふりをする。
だけど、どう考えてみても私の隣に彼氏がいる世界が想像できない。
「私はもうちょっと自由がいいなー」
「えー」
みんなの声が重なって、廊下に響く。
幼馴染みの葉月だけの声が重ならなかった。
みんなは私に呆れて、教室に戻ってからも私の恋愛に対する会話は絶えなかった。
チャイムが鳴ってみんながそれぞれの席に着いた後、少し考えてみた。
毎日電話をしたり、メールをしたり、お互いを求め合ったり。
そう言うのは、私には、まだ、よくわからないなあ。
ありがとうございました。