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少女と悪魔の出会い

目が覚める。

そこは、あたしの部屋。なにもない。この空間で生きているのはあたしだけ。

あたしだけ?そう思った途端、部屋には人がいる。親・兄弟・友達・近所のお店の人。人という名のなにかがいた。あたしは動けない。立てない。ベッドに横になっている。人なのか分からないものが、あたしに近づいてきている。

怖い。助けて。誰か助けて。嫌だ嫌だ。死にたくない。連れてくな。あっち行け。

あたしは意味の分からない言葉を叫ぶ。

恐怖恐怖恐怖・・・・。死への恐怖。

そして、なにかが弾けた音がした。

バンっ!!!!!!!!!


目が覚める。

そこは、あたしが今までみていたであろう夢の中と同じ部屋。あたしの部屋。周りを見る。あたししかいない。ほっ・・・っと安心する。・・・・が。

朝から最悪の気分だ。また・・・あの夢をみてしまったのだから。なぜだなぜだ・・・頭の中で繰り返す。もちろん寝起きなのだから頭なんて働くはずもなく、すぐに思考停止。

あ~・・・汗で体べっとべとじゃねーか・・・。シーツもだ。

洗わないと・・・。そう思いベッドから降りる。

まだ朝早いらしく、時計を見ると5時だった。

はやすぎだろっ!!!!!!!・・・と一人でツッコんだ。誰も反応なんてするはずもないが。

洗濯機の中にシーツを入れ、洗う。その間に、あたしはシャワーを浴びる。

もう毎日のように、あの夢をみるようになってしまったため習慣になってしまった。

「でも・・・」と、ふとあたしは思った。

最近あの夢をみることが極端に多くなった。昔は月に1回程度だったため全然気にしていなかったが、さすがに・・・こうも多くなるとあたしも不安だ・・・。

「あたし病気なの?」

誰もいない浴室でつぶやいた。

誰も答えない。当たり前だ。

家族は皆寝ているのだから。

「ふぅ・・・」

あたしはため息をついて浴室から出た。

目の前に、兄がいた。

沈黙。

沈黙。

「お、おう。美影みかげ朝から誘ってんのか?」

兄は・・・晴輝はるきは言った。

あたし・・・美影は言った。

「ざけんじゃねぇぞ。くそえろじじぃ。おめぇに誘うバカどこにいんだ。とっとと死ねええええええ」

あたしは綺麗な・・・とても綺麗な回し蹴りをきめた。


今日の朝は散々だった。兄に覗かれたあげく、そのことをあたしを迎えにきた友達にまで言いふらしやがった。あのくそ兄。あとでぶっ殺す。

そんなことを授業中に考えていた。あたしは一番後ろの窓際の席だからサボっていてもあまりバレない。

てゆーか、こんな退屈な授業ききたくもない。

毎日毎日、赤の他人から意味不明なことを強制的に教えられる。なんて退屈なんだろう。

前の席から何かがポイっと投げられてきた。

手紙だ。

「美影~!!この授業ちょーー退屈なんだけどぉ~・・・。」

・・・・・くだらねぇ。

わざわざそんなこと言うために手紙送ってきたのかよ。

紙の無駄だ。世界の貧しい国に寄付しろあほ。

・・・と思いながら、あたしは

「だよね~~こんな授業はやく終わってほしんだけど~くだらなぁ~い」

と返した。

最後の「くだらなぁ~い」は、もちろん前の席の友達に宛てた言葉だ。

そんなこと分かるはずもないが・・・。

まぁ、そんなこんなで退屈で紙を無駄にした授業は終わった。

 終わった途端、あたしは教室を出て立ち入り禁止の屋上へ向かった。

もちろん次の授業はパスだ。

あたしは、ごろんっと横になる。空が真青だ。きれい・・・。

あたしは、この屋上が好きだ。特に晴れてるときは。

空が青くて、この世界に生きてる人間はあたしだけで、

そして、一番死に近い場所。

「ふふ・・・」

あたしは笑った。可笑しい。

あたしは死んでもいいと思っている。てゆーか死んだほうが楽だ。なにをしても最後には虚しい気持ちがある。

でも、あたしは死ねない。

死ねないんだよ。あたしは。だって・・・

バタンっ!!

誰かが屋上に来た。

あたしは知らんふりして、寝たふりをした。

コツコツ・・・

こっちに来てる。なんでだよ。あっちいけ。

そして、あろうことか屋上に来た奴はあたしのすぐ横に座った。

これは、寝たふりなんかしてられなく、

「なんなんだ・・・よ・・・」

ぎゅっ

・・・・・・・抱きしめられた。

男だ。

おいおいおいおいおいおい。まてよ。あたしなんかしたっけ。なんだこの状況。

「ちょっ・・・と!!!!!なにしてるんですか!!!!!!!!」

ベリっと男を引き剥がした。

「あぁ・・・せっかくの癒しタイムが・・・。」

そんなことを知らない男が言う。

「はい!?あたしあなたのこと初めて見て初めて話すんですけど!!やめてください!!」

「えぇ・・・だって君が誘ってたから・・・」

誘ってねえええええ。こいつ頭大丈夫かぁ!?

「あたし誘ってませんから!!まずあなた誰!?」

「あぁ・・・僕は~・・・誰だっけ・・・」

あぁ、こいつダメだ。頭いかれてやがる。自分の名前わかんねぇやつなんて初めてみたぞ。

「あ。僕は真城ましろ 優空ゆうあよろしくね」

「え?あ。あたしは加佐野かさの 美影みかげよろしく・・・。」

ありゃ?よく見たらイケメンだ。髪の毛金髪だし、目の色が青い。外人か?

「じろじろみないで~。恥ずかしいからぁ!」

・・・ぶん殴りてぇ。こーゆーキャラ嫌いなんだよな。

「あの~お邪魔でしたら、あたし出てくんで。」

「えっ!?なんで!?全然邪魔じゃないよぉ!!一緒にお話ししよーよ!」

・・・このなついてくる感じ、うざ。

「あ~。でも授業始まるんで。」

「どーせサボる気だったでしょ~?」

「ぐっ・・・」

図星だ。サボる気満々だった。

「あ~図星でしょ~」

ケタケタと優空君は笑っている。

「いいから話そうよ~」

あたしに向かって手招きしている。いらっ・・・上から目線だ。そーいえば、こいつ何歳なんだ?

「あの、失礼ですが何歳ですか?」

「ほぇ?僕17歳だけど?」

同い年じゃねぇかよおおおお。

「あぁ~そうなんですか~。」

「美影は~?」

いきなり呼び捨てかっ!!

「あたしも17歳です。」

「わぁ!そぉなの~?やったぁ~じゃぁ仲良くしてねぇ~」

「あぁ、はいはい」

それから、あたしは優空君と話していた。

ずっとイライラしていたがな。


帰宅した。

あたしはお兄ちゃんに八つ当たりするのも忘れて、自分の部屋に戻った。

疲れた・・・。今日は本当に疲れた。

あたしは眠気に勝てず、目をつむる。

真っ暗だ。

パッと景色が変わる。

あたしはベッドの上。寝ている。

またあの夢か。

あたしは思う。・・・思う?

おかしい。どう考えてもおかしい。今までは、この夢を見てるときは夢だなんて一回も思わなかった。

あたしは起きようとする。・・・動ける。

周りを見る。誰もいない。

ざわぁぁぁーっと一気に恐怖を感じた。

怖い怖い。あたし一人。一人。一人。

そう思った途端、あたしの周りには人という名のなにかがいた。

「っ!!」

恐怖で言葉が出ない。喉がカラカラだ。

なにか達は言った。

『死にたいなら殺してあげようか?』

「っいやあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないっ!!!」

「そんなあなたにご名案~~!!死にたいけど死ねないあなたに!!

この世では死んじゃうけど~永遠に死なない体をさしあげま~す!!ひゃはは!!」

明るい声で窓辺に立つ男が言った。


「っ!!」

パっと目が覚める。え?夢?

「夢じゃねぇよ~。むふふ」

声のするほうを向くと、そいつはあたしの隣に寝ていた。

「ひゃは!やっぱ添い寝ってあったけぇな!おめぇは汗やべぇけど!」

「・・・きゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

その声を聞きつけてお兄ちゃんが部屋に飛び込んできた。

「おい!!どうした美影!!!侵入者か!?俺がぶっ殺してやらぁぁ!!!」

バットを持って声を挙げた。

「お、お兄ちゃん!!!ここ!!!ここに変な奴が!!!!!」

「あ!?・・・なんだ。いねぇじゃねぇかよ。びびらせんな。」

「は!?ここにいんじゃん!!あたしの隣!!!のんきに寝てんじゃん!!」

「はぁ!?美影・・・お前とうとう頭いっちまったか?それともぼけてんのか?俺はそれにのればいいのか?」

「ち、ちがっ!!!ほんとだって!!!ここにいるじゃん!!!」

「あぁ、はいはい。わぁ、ほんとだ。そんなところに不審者が。美影襲われないようになぁ?」

そー言って、あたしの部屋を出て行ってしまった。

「うん!!襲っちゃうよ!!」

そいつは言った。

「ひぃ・・・なんで?なんで見えてないの!?」

「え?美影以外俺はみえねぇよ?」

「ひっ・・・な、なんであたしの名前知ってんの?」

「え?だってさっきお兄さんお前のこと美影って呼んでたじゃん。」

あ。納得・・・。

「納得した~?美影びびりすぎなんだよ」

「・・・なんで今思ったこと分かったの!?」

「え?だって俺・・・ってゆーか、俺美影と契約しにきたんだっ!!!」

・・・契約・・・?

「そう!!あ!俺ヴァレンサ!!悪魔だよん!悪魔だから君の心の声も聞こえるのさっ!!よろしくね!!さっそくだけど!!美影、死にたいけど死ねないんだよね?」

あんな笑顔だったのに、いきなり真顔になった。

「っ・・・なんでそんなこと聞くのよ。」

「大事なことだから~!!」

「・・・あ、あたしは!!・・・死にたい・・・。けど、死にたくない。」

「なんで?」

「・・・・怖いから。」

なんであたしは、初対面の奴とこんなにすらすらと話しているんだ?

「・・・なんで怖いの?」

・・・嫌な記憶が蘇る・・・。


―――――――――――おめぇなんか死んじまえよ!!!!

い、いたいよっ!!!やめてお父さんお母さん!!

あぁ!?口答えすんじゃねぇ!!

はぁ、はっきり言ってあんた邪魔なのよ。暗しい、何考えてんのか分かんないし。晴輝のほうが全然かわいいわね~。

もう、いっそ殺しちまわねぇ?

えぇ、そのほうが楽だわ。

っ!!!い、いやだ!!!いやだ!!!助けて!!!死にたくない!!いやだよぉ!!!

っるせぇ!!!おい。包丁持ってこい。

えぇ。

や、やだやだやだやだ!!!!助けて!!!死にたくないよぉ!!!

るせぇなぁ・・・。まぁ、今日で最後だから許してやるよ。さよーなら。

ミ・カ・ゲ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「・・・あたしは、親に殺されそうになった。だから死ぬのが怖い。その時お兄ちゃんが助けてくれたから今生きてる。でも、今思えば・・・あそこで殺されててもよかったのかなぁ・・・」

ポロっとあたしの頬に涙が伝う。

  ぎゅうっ・・・

悪魔に抱きしめられた。今日で2回目だ。

「美影は今まで頑張って生きてきた!!偉いぞ!!!」

ポンポンと背中を叩かれる。

「だから、そんな生活とは、おさらばして俺と契約し、一緒に悪魔になろう!!!」

「・・・・はっ!?!?!?」

この一言で、あたしの人生は一転することとなる。









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