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くらいところ
小山田郁は中学の先輩達と、駅前でアイスを食べている。
名前を忘れてしまった三年の先輩が、アイスをおごってくれたのだ。よく、二年の松永先輩と一緒に居る、あんまり印象に残らない顔で、優しい雰囲気の。
先輩が郁を振り向いた。にこにこしている。「小山田、足りるか?」
「はい」
あまりにも朗中野で、郁もつられて微笑んだ。
「なんかさ、アイス屋さん大変そうだったんだ」
先輩はくすっとする。
「俺がいっぱい注文したからだと思うけど、店の裏のくらいとこで三人くらい作業してるんだ。なにしてるのかわからないんだけど、なんかずっともめてる感じでさ。あ、それに変なんだぜ、店員さんがふたり居たのに、いつの間にかひとりになっててさ。出て行くの、見てないんだけどな」