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切手
出海ことみは郵便受けの中身をとりだした。
近所のスーパーマーケットのちらし、少しはなれた区画にあたらしくできるらしい喫茶店の案内、薬局からの健康食品の案内に、請求書が数通。
そのなかに、封書があった。
差出人は書いておらず、宛先は「ツノクマトシユキ様」となっている。そんな人物は出海家に居ないし、ご近所でツノクマというお宅もない。
間違いだろう、と思って、ことみは郵便局へ封書を持っていった。
「誤配……ですか?」
「はい。これです」
「はあ」
局員は戸惑ったみたいだった。「あの、これ、消印が押されていないですね」
局員が示したところを見ると、まっさらな切手があった。