動物の死骸を見付けた場合は
宇喜多みどりは、自宅の敷地の外れで動物の死骸を見付けた。
みどりは動物にくわしくなく、その死骸が「なんなのか」がわからなかった。しかし、私有地で動物が死んでいた場合、ペットでなくともその土地の持ち主が処分しなくてはならないと知っていた。宇喜多家は敷地がひろく、野生動物が死んでいることはたまにあるのだ。
みどりはそれが「なんなのか」わからなかったのだが、手を合わせて冥福を祈り、風呂敷を持ってきて包み、段ボール箱へいれた。どこかで供養してもらったほうがいい、と考えたのだ。
みどりは同級生の家へ行った。そこは幡多神社という、霧上市でも古い神社だ。
「あれ、宇喜多さんだ」
段ボール箱を抱えて神社へ這入ると、同級生の佐伯が箒を手に立っていた。怪我をしてからずっとつけている眼帯は、あたらしいものになっている。
「こんにちは。どうかしたの?」
「あの……これ」
おずおずと、箱をさしだした。佐伯はちらっとその中身を見て、頷いた。
佐伯とその姉が、お経のようなものを唱えて、供養してくれた。みどりは手を合わせてそれを聴いていた。「宇喜多さん、いいことしたね」
「ううん。はやく気付いてたら、助けられたかも」
近所のペット霊園へ預けてくれるそうだ。みどりは安心して、家へ戻った。
数日後、庭に出ていたみどりに、あの動物に似た動物が寄ってきた。子どもかきょうだいだろうか。どうやら柿を食べたいようなので、とって与えた。この子はなんなんだろう。顔は猿に似てるけど、四肢は猫っぽい。
動物はひょうひょうと鳴いて、喜んだらしかった。