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大豆
宇喜多みどりは大広間の掃除をしていた。
親戚が集まった時に宴会をしたり、子ども達で寝起きしたりする部屋で、普段からふすまをとりはらっているのでひろい。
端から端まで箒をかけて、みどりはふと手を停め、部屋の北東の隅に落ちているものを拾った。
大豆だ。
節分に豆まきをしたものを、十一月になった今の今まで誰も気付かずに居たのだろう。
みどりは拾った大豆を見て、首を傾げた。
節分で撒く豆だから、煎り大豆だ。
焦げ目もついている。
それなのに、その大豆からは芽が出ていた。