過去の
宇喜多みどりは、祖母と写真整理をしていた。
「このひと、だあれ?」
「みどりのひいひいおばあさんかな」
「このひとは?」
「わたしのお兄さんの、奥さんの、いとこ一家だね」
「ふうん……あっ」
古く、端がぼろぼろになった写真に、自分を見付けた。
自分だ、と思うほど似ている女性の写真だ。明治くらいのものだろうか。それくらいの年代を描いたドラマなどで見る波打った髪型で、濃い色の羽織と明るい色の着ものを身につけている。
その女性は座った状態で、背後に男性が立っているのだが、男性の顔は写真が解れてしまっていてわからない。ただ、男性もきちんとした洋装をしていて、なにかしらの記念写真のように思えた。
裏返すと、「美鳥と」とある。美鳥……みどり?
「おばあちゃん、これは? だあれ?」
別の写真を眺めている祖母へその写真を見せたが、祖母は首をひねった。
「あら? 誰だろう。わたしは知らないから、おじいさんの親戚かしら」
云いながら祖母は写真をとりあげ、ペンダントタイプのルーペでしっかりと見る。「やっぱり知らないひとだねえ。後ろのひとも、誰だろう?」
その後、家族全員に訊いたが、誰も覚えはないそうだ。
みどりはその、自分そっくりの女性の写真をもらって、写真立てにいれ、机に飾ってある。それを見ていると、不思議と気持ちがやわらぐ。