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目印
小早川星は山に居た。
友人達と「探険」に来たのだ。
だが彼らは迷っていた。
「星、大丈夫?」
「へいき」
星は転んで足を傷付けていた。膝から血が流れている。
星は、細い山道を遮るように生えた若木に気付いた。「これ、目印にしよう」
「うん」
彼らはそれを目印に動きまわり、とうとう遊歩道に出た。星は泥まみれで家に帰り、姉にしこたま叱られながら治療してもらった。
数日後、彼らはケータイや方位磁石を持ってもう一度そこへ行ったけれど、あの道から若木は消えていた。