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はこ
宇喜多みどりは祖母の手伝いで、倉の掃除をしていた。
二階にあがったみどりは、綺麗な漆塗りの箱を見付けた。
「おばあちゃん、これなに?」
「あら、懐かしい。おばあちゃんのおばあちゃんがつかってた、お化粧道具いれ」
外で家系図を虫干ししていた祖母に渡すと、祖母は化粧道具いれだという箱を縁側へ置き、嬉しそうに蓋をとる。
さらさらっと流れるように、乳白色できらきらしたものが漂い出た。祖母がくすくす笑い、蓋を閉じる。
「おばあちゃん?」
「死んじゃったらあんたにあげるよって約束してくれたのに、この子がいやみたい。わたしがこっそり蓋をとると、いっつもこうなんだよ」
祖母の口ぶりはどことなく嬉しそうだった。