第九話 津島での商いと出会い
春になり美濃から尾張に入ってが数年たった頃、津島で小物店の商売が出来るだけの銭と座に必要な銭が準備でき小物屋で商いを行っていた時、馬に乗り周りに近所の悪ガキどもをはびらせ、入浴時に着る湯帷子を着用し、まげは結わずに派手なひもで髪を結び、腰には帯変わりの縄を巻いて複数のひょうたんやわらじをぶら下げていた人物が店の前で止まった。
「(なぁぁぁんで止まるんですかねぇ。)い、いらしゃいませ…。」
「小僧、ここの店主は?」
「奥で休んでおります。休みの間は番頭の私がお客様のお相手をすることになっておりますが、なにご用でも?」
「なに、ここの店主は相当な美人だと聞いたからな。見にきただけだ。それにしてもお前のような小僧が番頭とは、人は雇っていないのか?」
奥から振り袖をきたお菊が、出てきた。
「小僧…いや番頭。そちらは店主のかたか?」
「此方は、看板娘のお菊と申します。」
外で待っていた悪ガキが数名店に入ってくると、悪ガキ一名がいきなり大声を出し、指をお菊と番頭である法師に向けた。
「お、お前は!」
悪ガキの一人は、入浴時に着る湯帷子を着用し、まげは結わずに派手なひもで髪を結び、腰には帯変わりの縄を巻いて複数のひょうたんやわらじをぶら下げていた人物睨まれて、事情を話し出した。
美濃尾張国境関を越えて尾張に入り津島にやって来て初日の事である。
美人と美少女と小僧は周囲の目を引き、悪ガキ数名が寄ってきて、金と母上とお菊を置いて行かないとボコボコにすると言ったが、逆にお菊と法師にボコボコにされたことを話した。
「それは、大変申し訳ない事をした。そして、まだ紹介していなかったな。格好でわかると思うが、織田弾正忠信秀が嫡男吉法師だ。」
「これは、弾正忠様のご嫡男とは思わずご無礼を。」
「よい。当初の目的は果たせなかったが、店に来たのだ何か売っておろう。見せてくれ。」
法師は棚に陳列品を一個ずつみせていき、短刀、直刀、太刀、刀と種類をみせていった。
「鉄砲とかは売っておらぬのか?」
「売りたいのは売りたいのですが、堺から仕入れする予定が津島衆に属してないから無理だと断られたので現在は販売しておりません。申し訳ありません。」
吉法師は、母上に会い美貌に引かれる事もあったが、目的を果たしたのか、今度は法師の方へと興味を持ち始めた。
「法師よ。いまから遠駆けする前に立ち寄った。付き合え」
そう言って吉法師は、馬上から言うと馬を走らせた。
法師は母上から子供なのだから、遊びなさいと言われていたので、遊びになるかわからない遠駆けに付き合う為に、裏手にある馬小屋に向かい、紐を引いて馬に跨がり追いかけた。
ちなみにこの馬は馬屋で買った馬と母上が乗ってきた馬の子供だ。
子供と言えど成体だから元気が有って遠駆けはよい経験になると思っていたのだが思ったより速かった。
感想からの指摘により、再度調べ直したところ天文12年の伝来でした。
大体信長13歳ぐらいだと思ってください。
前話は天文8年頃(時期的に9年?)から数年経っております。