第四十二話 尾張統一戦 美濃勢との攻勢
霧斎は少数の兵を連れて清洲を出て、美濃国内に侵入。
先に、間諜として潜入していた者達の案内を受け、美濃勢に接近。
森の中から、監視していた。
「殿、以下がなさいます?」
「恐らく、美濃勢は犬山に向かっているだろう。ゲリラ作戦をするか…」
「殿、ゲリラ作戦をするにしても良くて10日分の弾薬、食料類しか準備しておりません。」
「なら、遅滞戦闘を行うか。夜までまとう。監視は交代で行う。隊の者以外は、他の仕事に移れ。」
霧斎の指示により、間諜達は別の任務に向けて現場から遠ざかった。
それから、数刻後太陽が沈みゆく頃、美濃勢は進軍を停止させ、休息に入っていった。
二名で監視していた者の内一人が、霧斎の所に向かった。
「申し上げます。美濃勢野営に入りましてございます。」
「わかった。一旦、美濃勢に気づかれぬよう後退する。そこで全体的に休息しようと思う。誰か意見はあるか?」
霧斎は隊の幹部たちに意見を求めたが、一人の幹部が意見を述べた。
「殿、よろしいでしょうか?」
「申せ。」
「殿は、先程後退するとおっしゃいましたが、美濃勢に付いて数名は残しておくべきかと思わいます。」
「確かにそうだな。六人ぐらいでよかろう。連絡を密にとり何か有れば直ぐに報告しろ。ある一定の所でその者達にも休息を取らせよ。」
「は。」
それから数刻が経ち、陽が西に沈み月が上がってきた。
美濃勢はゆっくりと尾張犬山付近に近づいてきていた。
夜は深け、少し霧が立ち込めてきた。
「殿、刻限は頃合いかと思われます。以下が為さいますか?ご命令を!」
「尾張犬山に到着するのはあと少しだ。頃合いだろう!命を下す。数名は矢に火を点け敵陣に放て、突入部隊を除く他のものは弓隊の援護と退路確保並びに多くいるように見せかけるため多くの松明を炊け、そして音を鳴らせ。では、数を数える零と言ったら作戦開始だ」
霧斎はカウントを行い、零と発言したと同時に作戦開始と小声でいった。
弓隊は矢に火を点け、敵陣に放った。
弓が数点余っているので、余ってる数だけ応援に駆けつけた者達が火矢を放ち敵陣営は燃え出した。
今だと言って森から出た霧斎を先頭に敵陣内に突入した者達は、敵兵を斬り殺していた。
霧斎を筆頭に剣に腕がある者達と槍の達人である。
「よし、十分だ。撤退しろ。」
霧斎は森に居る者達に向けて合図を出し、急ぎで敵陣内から脱出を図り、特製の手榴弾で追っ手を巻いた。
その後、霧斎率いる偵察部隊は、遅滞戦闘を行いながら夜襲を何度も仕掛け、敵味方双方に被害が大きくなってきた。
「殿、今回も夜襲を仕掛けるおつもりで?」
「あぁ…」
「ならば、恐れながら言上致します。此度の夜襲は反対でございます。」
「そうであろうな。もう夜襲は無理だと思う。だから嘘を広めることにした。」
「と言いますと?」
「信清が死んだことを流せばいい。こんな短期で討滅されたと思い知るだろうも思う。」
「では、その様に」
情報を信じた美濃勢は撤退を始めた。
美濃勢が撤退したことを知った信清は、焦りが出た。




