第四十一話 尾張統一戦 犬山城異変と裏切り
清洲城を落城後、那古屋から居城を清洲城に移した。
「やはり、清洲からの眺めは良いな。」
「は、最初に見ましたのは落城後ゆえ、今では見違えております。」
信長が側付き小姓と会話をしていると、別の者がやってきた。
「殿、犬山城にて異変有りと報告がございました。そして、犬山城に仕える穴吹八重五郎なる者が面会を願い出ております。以下がなさいましょうか。」
「なに、犬山にて異変だと!?穴吹某と会おう。広間に連れて参れ。」
「は。」
信長が広間に行くと、穴吹八重五郎は甲冑姿で平伏して待っていた。
信長が上座に座ると、穴吹八重五郎は顔をあげ信長を真っ直ぐ見た。
「その方、何用だ。」
信長が要件を聞くと、穴吹は胡座をかいた姿勢を前に傾け要件を話し始めた。
「は。拙者、織田信清が家臣、穴吹八重五郎と申しまする。今回信長様にお目通りが叶いましたこと深く感謝致します。して、要件にございますが、拙者の格好通り我が殿は信長様に対して合戦準備に入っております。本日はその件に付き通報しに参った次第にございます。」
信長は小姓の持っていた刀を抜くと、素早く穴吹の首筋に刀の刃を置いた。
「その方、自分の主君を裏切る行為だ。何故そこまでする!」
穴吹は、そのままの姿勢で持論を述べた。
「それでは、拙者の持論を言上致しまする。我が殿は、信長様の支援を行っていた浮野での戦い以後、領地の配分で不安を覚え。その後、家臣団の一部が美濃の斎藤氏と結託をして、我が殿を抱き込みました。何度も殿をお諌めいたしましたが。拙者らは時流を読めると思っております。故に、信長様いえ我が殿にこのとことを報告しに参った次第にございます。」
穴吹は頭を下げた。
信長は返事をすると、穴吹に命令を下した。
「穴吹、そちに命ず。」
「は!」
「急ぎ、犬山に帰り内部から切り崩せ。」
「は!」
穴吹は頭を下げ、広間から出ていった。
信長が広間から出ていこうとすると、火急の物見がやってきた。
「申し上げます。美濃勢動きました。数約二千。」
「わかった。全員集めろ」
信長は小姓に集める様に命令を出すと、広間の上座に座り直した。
それから、数刻が経ち全員が集まってきた。
「此度、集めたのは美濃勢並びに犬山に不穏な動き有りと報告を受けた。目下は美濃勢より犬山をどうにかする。故にいつでも動けるよう準備を怠るな。霧斎其方は、美濃勢の監視をせよ。何か動きが有れば直ぐに報告せよ。無理には戦うな。」
「は!」
「以上だ。何か他にあるか?無いな。」
信長が広間から退出すると多くの家臣たちが、元の仕事に戻った。
霧斎は少数の兵を連れて美濃勢がいると思われる場所に向かった。
信清の所には美濃勢が出陣した報が入り、犬山から出陣した。
その日の夜中、美濃と尾張の国境近く付近にて突如として法螺貝がなった。




