第三十五話 尾張統一戦 〜戦後処理 其の弐〜
信長との謁見を終えた霧斎は、屋敷に戻り具足を脱ぎ母と菊と面会をしていた。
「母上、ただいま戻りました。菊帰ったぞ。」
「おやおや、お帰り。怪我などしなかったぞぇ?」
「は、怪我はしておりませぬ。」
母と菊との面会が終わり、その足で風呂場に向かった。
風呂場に向かった霧斎は、井戸水を汲んだ物に手拭いを漬け、軽く絞った手拭いで上半身を拭いていた。
背中に関しては、手拭いを広げ拭いた。
下半身も拭き終わった霧斎は風呂場から出て、身支度を整え再度、居間にむかった。
居間には母とお菊が食事の支度をおこなって待っていた。
「母上、お待たせしました。菊待たせた。」
断りを入れた霧斎が先に箸を付け、皆でご飯を食べた。
そして夜が更け、眠りに付き次の日のまだ霧が出ている早朝、刀の素振りを行っている所に信長からの使者がやってきた。
「十六夜様。お館様からの書状で御座います。お館様から返書を持って返ってくるように、命令を受けておりますので、お返事お待ちします。」
「うん。あい分かった。殿に直ぐ参上するとお伝えくだされ。」
「は。」
使者に直ぐ向かうことを伝えてもらうように言ったあと、強い風が吹き一瞬目を閉じ、気づいたら使者がいなかった。
「忍びか…」
霧斎の背後から尚が現れた
背後から尚が現れたことにより霧斎は、地面に尻餅をついた。
「情けない。俺が暗殺者なら殺していた。」
「殺すって情けない以前のもんだろう!しかも殺気も気配も無かったから気づかんわ。凄腕の暗殺者でも殺気ぐらい出すだろう!」
霧斎にそう言われた尚は、首の辺りを掻きながら面倒くさそうに手を出してきた。
霧斎は、手を受け取り立ち上がった。
すると、尚は真面目に意見を言ってきた。
「殿様、先程の殺気については私が知る限り坂東にいる風魔の棟梁からは殺気が感じられずに殺されそうになりました。同じ忍びの者とはいえ人間ではないと思いましたな。では。」
尚はそう言って消えた。
「そうか、風魔か。なんかキャラクリして転生した感触がなくなっていたから現実感出てきてええぞ!風魔!しかし、この時の風魔って何処にいるんだ?やはり後北条?まぁ、まだ関東に向かうわけじゃないからいいか…。しかし…あっ…いっけねぇ!」
霧斎はそう言って直ぐに居間に戻り正装に着替えて城へ向かった。
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