第三十三話 尾張統一戦 〜末森城城内の戦いと処理〜
夜19時に投稿予定(予約)
霧斎と戦っていた若武者が足軽や雑兵を斬り殺していた所に霧斎がやってきた。
「その方は、先程の若武者か!先程の決着をつけるか?!いざ勝負!」
「かかってこい!」
双方の太刀が混じり合い、押したり引いたりしていた。
再度、太刀が混じり合った時、霧斎は話をかけた。
「貴様、何故城から出なかった!腕も立つ、城から出ても斎藤、六角、北畠もしくは清須織田、我々那古野織田とかで仕官は可能であろう!殺したくはない大人しく降伏しろ。城方のほとんど降伏するか城から脱出している。今まで見ていないだろう!」
「く、確かに!徹底抗戦する者たちしか残っていない。だが、殿からの恩義を死して返さなければならいない!」
「(武士道精神か。生きてこその忠誠とご恩だと思うがな…)そうか、ならば死ね!」
若武者の太刀を弾くと霧斎は、ひと思いに太刀を胸に突いた。
そのまま、若武者は崩れ落ちた。
霧斎は若武者の首を斬り、大声で敵将を討ち取った事を知らせ、抵抗しないなら武器を捨て降伏しろとまた叫んだ。
数多くの将兵が、武器を落とし大人しく降伏した。
森可成が近づいてきた。
「さすが、十六夜殿。」
「これは、森殿ほどではござらん。森殿こそ傷は大丈夫ですか?」
「安心しろ、掠り傷だ。立ち話はこれまでにして殿に伝令を出そう。」
「は。」
霧斎は返事をして、近場にいた兵に信長の陣幕へ伝令として行くように命じた。
伝令は、馬に乗ると城門を出て本陣へ向かった。
「殿が来るまで死体整理、首化粧などやることはいっぱいありますな。降伏したものは十六夜殿に任せます。拙者はそちらには向いていないので。」
「は。お任せあれ。」
霧斎はそう言って降伏した者達を集めている場所へと向かっていった。
降伏した者達がいる場所へ着くと、先ずは完全武装解除、負傷者の選別をするように命令を下した。
十六夜隊、森隊からも負傷者が出ているのでそちらも合流するように後付で命令を出した。
霧斎の所に報告に来た者がいた。
「殿。ご報告ございます。完全武装解除は完了しました。負傷者の選別を行いました。」
「よし、なら一人づつ連れてきてくれ。黒は良いからな。」
「は。」
霧斎がいる所に負傷者が一人ひとり連れてこられて、軽い医療診断と軽い面談みたいなものを行った。
幸いか、負傷者の選別で赤の数が少なく、矢傷の治療や刀傷の治療などの数が多くいつの間にかだいぶ時間が経っていた。
霧斎が治療をしているそこに信長と森殿がやってきた。
「霧斎何をしている。」
「これは、殿。負傷者の治療を軽く出来るものを先に行っております。」
「霧斎、そのほう治療が出来るのか?」
「軽く出来るものだけです。(良かった、赤の対応しているときじゃなくて。)」
「分かった。少し見させてもらう。」
「は。」
霧斎は頭を下げ、次の負傷者を待っていた。
負傷者を連れてきて横に寝かすと、ガーゼ、消毒液、包帯を使って治療を行っていた。
「霧斎よ。今使ったものは何だ?」
「は。こちらガーゼと言う物でして此の様に、消毒液をたらした上に重ね包帯と言う物で押さえつけながら止血を行う物になります。また、主に使うのは矢傷や刀傷などの傷口にガーゼは当てます。」
「なるほどの。しかしそのような技術どこで身に付けたのだ?」
「昔、堺にいた知人に教えてもらいました。今、生きているかは分かりません。何せそのお方はお年を召していたので。」
「で、あるか。」
一人の伝令が話に割って入ってきた。
「お話の所申し訳ございませぬ。」
信長が何用じゃと返事をすると霧斎に対しての伝令であった。
「は。十六夜様、外に居りました黄組は終わり申した。」
「あい、分かった。では、次はこのような色を付けているものを入れてきてくれ。」
「は。」
伝令は外へ向かい、案内役に命令を伝えた。
こうして、負傷者の治療が終わり農民出の雑兵にはある程度のお金を渡し解散命令をした。
他の降伏した農民以外の出自の者達には、今まで城内・城内外にて役職についていたのかどんな仕事をしていたのかを伝え、保護する予定の者達を見ていた。
そして、多くの者たちが保護をすることになり私設の十六夜隊は数が少し増えた。




