第三十話 尾張統一戦 〜末森城城下の戦い 其の壱〜
※2023/3/8 題名の一部変更
十六夜隊が現地から遠ざかり、少し立ってから織田軍本体が城の周辺を包囲した。
このとき、城は十六夜隊によって爆破された城門の緊急に備えを追加を行い修復を行った。
城壁に関しては、盾で簡易的な修復を行い、弓矢を構えていた。
〜織田本陣では〜
「殿、十六夜様がお目通りを願い出ております。」
「うむ。通せ。」
「十六夜ただいま戻りました。殿以下がなさいますか?」
信長の許可により本陣に入り席に座った際、奥方並びに息子を捕縛した旨を伝えた。
「城は包囲した。今伝令に命令書を持たせて城に向かわせた。」
「は。」
〜末森城城中では〜
伝令が入って来た
「申し上げます。侵入者を取り逃しました。また、お味方被害甚大」
「申し上げます。那古屋城から織田軍進発!」
「申し上げます。織田軍我が城包囲!」
「動きが速すぎるぞ!侵入者はもう良い!とにかく修復を急がせろ」
信行が死んだことを知らない城代は防衛を固める指示を出し、軍議を開くことを通達した。
軍議の最中に伝令が入って来た。
「申し上げます。敵方から使者が参りました。」
「会おう。通せ!」
「は!」
別の伝令が使者を連れて、評定の間に連れてきた。
「お初にお目にかけまする。拙者、今回名代にて参った次第。」
「うむ。して、なんのようじゃ!」
「は、城を開城し降伏してくだされ。」
「出来ぬわ!」
「されば、末森城城主織田信行様は3日前の明朝おなくなりになり申した。そして、織田信行様のご正室並びにご子息を捉えました。戦う理由は無いかと思われますが?」
城代は悩んだ。
たしかに降伏すれば命が助かり、いたずらに兵士を失う必要もないのだ。
だが、家老各で仮の城代である者が降伏しても許されるのだろうか、腹を斬れば他の者たちが助かるかと深く悩んでいた。
「少し、話すので待ってほしい。」
使者は一旦外に出され、城代は近習の者たちと話し合いを始めた。
「城代家老様、降伏しましょう。戦う理由がありません。」
「いや、断固として戦うべきだ!もしくは、一度戦ってから降伏すべきだ。」
有る者は降伏を訴え、有る者は例え降伏するのなら一度戦ってからにすべきと訴えた。
城代家老が悩んでいると軽装の若武者が入室してきた。
「城代家老!何故打って出ない!」
「若武者が何をいうか!」
城代家老に対して上から目線で問いかけるこの若者は、元は信行付小性で槍の名手でもある名を甚左衛門と言う。
なお、家格については低いが信行に寵愛され、次席家老となっている。
立ち位置は実質No.2といったポジションである。
「城代家老様は、腰抜けじゃ!今から打って出る!戦うものは付いてこい!」
甚左衛門はそう言うと、城内の若い者で手柄が欲しい者達が白を出ていった。
軍議に出ている者も何人か行ってしまった。
「ど、どうする。行ってしまったぞ!」
「城代家老様、仕方ありません。使者殿を切り、首を晒して合流するか、使者殿に降伏する旨を伝え出ていった者達が戦う前に止めるしかありません。ご決断を!」
残った者の代表者が言うと直ぐに使者を呼び、降伏すること、今出ていった者たちは戦おうとする者達と伝えた。
「甚左衛門様、殺さなくて良いのですか?」
「よい。使者を斬り捨てた所で何も変わらん。使者が出ていった所で、城門から出て布陣する。良いな!」
使者に対して護衛を付け城門から出ていった。
甚左衛門は使者が出ていったことを確認すると、馬に乗り兵を連れて城門から城下町へ続く道に布陣をした。
後から、追いかけてきた者達も続々と布陣して総数兵1000名程度となった。
〜織田軍陣営本陣〜
「申し上げます!伝令が戻ってまいりました!」
伝令が着いたことを、報告に来た使い番に入れ替わりで、敵兵が出てきたことを伝えられた。
「申し上げます!城内から敵兵が出てまいりました!」
「伝令!返答は!」
「降伏するとのこと!そして、城外に布陣している者達は蹴散らしてくれて構わないとのこと!」
「わかった!休め!」
「可成!霧斎!両名に兵五百与える!蹴散らして参れ!」
「御意!」
可成、霧斎は天幕を出て兵を率いて城下町手前まで進軍した。
この時、織田軍総数兵2000である。
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