第二十六話 末森城捜索
城内の部屋という部屋を開けていき、探索するが、逃げ惑う女官や斬りかかってくる者達しか見つけれてない。
「隊長、未だ発見に至りません。」
「まだか、間だ見つからんのか!」
無線機に一通の無線が入った。
「隊長、九番班からの無線です!」
「繋げ!」
「(こちら、九班、こちら、九班。我、城主の妻、子供を捕虜せり)」
「九班、城の抜け穴とかが無いか尋問しろ。丁重にしろよ。」
「(こちら、九班了解。)」
城の城内の一室にて、九班が捕らえた城主の婦人と子供を捕虜にしたため、城内の内部についての尋問を行っていた。
「そんなに、怯えないでください。一つ聞きたいことが有りますがよろしいでしょうか?」
「な、なんじゃ?乱暴は止してくれ。」
「自分らそんなことしてる暇は無いので部隊でやってたら今頃消されてます。そんなことより本題へと入りましょう。まず、この城の抜け穴、抜け道、隠し部屋などは有りますか?」
婦人に向けて尋問官が聞くと素直に話し出した。
「あ、有るにはあるが。妾は知らぬ。息子共々ここに置かれていったわ。」
「そうですか…一旦外に護送させて頂きます。誰か丁重に外へ」
班から二名が護衛につき外にある本陣へと護送された。
一方その頃信行は城の外に出て自分の母親がいる城へ数人のお供と騎乗の人になっていた。
「皆のものそろそろ那古野だ。」
信行達が城につき門番に母親に会いに来たことを告げた。
すぐさま母の居るところへ案内され事の顛末を話した。
次の日、信長軍対信行軍(総大将は柴田)戦闘開始直後に白旗を掲げた二人の伝令が真ん中に来て大声を上げて信長の母親の使いできたこと、信行の末森が落ちたこと、信行の婦人と息子を捕虜にしたこと、清洲に落ち延びて降伏したことを告げ戦闘停止を呼び掛けた。
だが、どちらの軍から放たれた矢か解らないが、使者の乗る馬の前に矢が刺さり戦端が開かれた。
「言われた通りに殿の陣へ逃げるぞ。」
「それでは、嘘だと思われるかと!」
「では、どこへ行くのだ!城か?」
「そちらが良いかと。」
伝令兵は二つに別れて一方は城へ一方は信長の本陣に駆け込んだ。
「で、あるか!無駄な血を流さなければならないのなら、やるしかない。かかれや!」
戦国では珍しい長槍を装備した足軽が衝突した。
「殿、こちらの槍が勝っておりますな!」
「で、あろう。これならば足軽いや雑兵どもも怖じけず逃げることは減るであろう。」
一方城へ向かった伝令兵は事の顛末を語り再度伝令として戦場になった場所へ向かった。
「弓隊、構え!放て!」
戦場では、雑兵を含む足軽隊が善戦しており、弓隊の援護入れながら信行軍をおしていた。
「殿の!敵方が退いていきますぞ!」
「よし!追撃なぞせんでよい!此方も撤退だ。」
伝令兵が到着する前に信長陣に逃げ込んでいた伝令兵が城へ報告に行き、居城からきた伝令兵と入れ替わりになった。
伝令兵は合流して城へ帰還した。
撤退した信行軍は一旦末森へ目指していたが、伝令兵が言った通りに城は陥落していた。
直ぐに城から武装解除と近隣から徴兵された農民に褒美を渡すために城から使者と戦功確認のための者が馬に乗ってやってきた。
「柴田様、直ぐに武装解除、近隣から徴兵された農民の解散、傭兵の解雇、軍官による戦功を行います。」
いまや敗軍の将となった信行側の将らは素直に指示に従うように代理総大将の柴田が全軍に命令した。
一旦農民、傭兵には約束の報酬を渡し解散と解雇を行った。
農民に貸し出した武具は無論回収との通告を出し武器庫に返納させたりしていた。
そして、十六夜霧斎が編成した約五十名の内十名程は城に残して戦功報奨、武器庫への返納などを手伝わせていた。
残りの四十名は農民の解散に当たっていた。
全てが終わったのは朝方で風呂に入り昼過ぎぐらいに信行側の将を護送の為、那古野へ帰還した。
「十六夜 霧斎!殿の命により末森から護送して参った。開門!開門!」
城門の横にいる門兵に門を開けさせ、門兵が報告しに行った。




