第二十五話 弟君の反乱
それから数日後、霧斎は信長に自室へ呼び出されて、ある書状を見せられた。
それには信長の奇行の数々が書かれており、最後には平手の文字が見えた。
「殿、平手殿は…?」
「爺め、腹を切りおった。霧斎ついて参れ!」
信長はそういって馬屋から馬を引っ張って正門を抜けた。
門番が理由を聞くと素直に、平手の弔いじゃと門番に伝えた。
平手政秀が切腹したことは直ぐに広まり、信長派がますます減ってしまった。
信行派の派閥が強くなってしまった。
平手の弔いが終わると数ヶ月は同じ奇行をしていたが、とある事情により奇行を辞めた。
辞めた理由は謀反であった。
「殿、弟君様が御謀反!理由は奇行を辞めぬ兄には当主は勤まらないとのこと!」
「で、あるか…。で状況は?」
「は!弟君様は末森にて籠城、柴田様約千は、林兄弟七百!の計千七百が末森を出て、進軍!」
「うむ。下がってよい。戦の準備をいたせ!」
「と、殿!恐れながら申し上げます。現在集めれる兵は少数です。千に行くかどうかです。」
「それでもよい!」
「は!」
評定の間から多くの武将たちや文官らが出ていったあと十六夜も出て行こうとすると、信長に呼び止められた。
「霧斎まて、そちには…別動隊を率いてもらう。そちには、俺にも黙っている者たちがいるだろ?いい機会だ表に出してやれ。」
「…は、仕度をして参ります。あまり武功は期待しないでください。」
十六夜家の親戚連中を集めて、そこから精鋭を選び五十人ぐらいの特殊部隊を編成していた。
霧斎は部隊召集をかけ、台に乗り演説をした。
「諸君、いよいよ貴様らの晴れ舞台がやって来た。今は五十人という小規模であるが、過酷な訓練を生き抜いた者たちであり精鋭中の精鋭である。今回貴様らを別動隊として行動する。作戦目標は末森城だ!各隊長らには作戦を説明してある。それに従うように以上!何かあるか!無いな、我々は本隊とは別の時間帯に城を出るよいな。解散!」
解散して、信長率いる本隊が出陣したあと、別動隊を率いる霧斎隊は本隊より速く城を出て、暗闇の中末森城を目指した。
「隊長、末森が見えてきました。本隊は柴田隊か林隊のどちらかと衝突しておる頃合いです。」
「城門を破り、末森城城主織田信行を捕縛する。各準備に入れ。」
十六夜隊は戦闘準備に入り、城門に無線時限爆弾を仕掛け、地面には等間隔に有線で爆発する地雷を設置した。
「作戦時刻まであと10、9…5、4、3、2、1…点火!」
城門と城壁の下につけられていた時限爆弾がアドレスを受信して轟音と共に、爆発した。
末森城内では轟音と共に多くの者たちが起きて慌てていた。
城主の信行は、轟音共に目が覚め見知らぬ者たちが自分の配下たちを切り捨てていくところを唖然と見ていた。
「殿、あぶのうございます。」
城主の信行は城の中へと消えていった。
轟音と共に突入した十六夜隊は、城内の非戦闘員以外の者、投降した者を除き切り捨てていった。
簡易無線が飛んでくる。
「(末森城城主信行未だ見つからず!)」
報告が上がってきた、いくら遅くても陽が昇るまでに探しだせと命じるも嫌な予感がしているのであった。




