第二十四話 尾張の虎死ス
それからしばらくして、尾張国内では織田信秀勢が南部で地盤を固め、北東の犬山織田家が反乱を起こすも再度鎮圧させ、従属させ人質を取り講話した。
三河の安祥城まで進出していた弾正織田家であるが、今川の摂政の太原雪斎による攻撃にて落城、庶子の長男である信広が捕まった。
信広の解放を要求交渉を持ちかけられ、交換条件として三河松平家の嫡男竹千代を交換することと停戦二ヶ月を結んだ。
こうして、西三河における織田家の勢力を失い国境線を維持するのがやっとであった。
それから、少し平和な時間が流れたと思っていたら犬山の織田信清が突如として領内に進行、村などで略奪を行い、織田信秀軍と交戦するも敗北し撤退。
犬山城も奪われ、清洲城へと逃亡した。
犬山城主には織田信光が任命され開発が行われた。
数日後、尾張の虎こと織田信秀は病の床に伏していた。
「ぬぅ。抜かったわ。ワシが病にかかるとは…。秀貞、吉法師を頼んだぞ。」
信秀は近くいた林秀貞に遺言を残すと息を引き取った。
林秀貞からの書状を持った伝令が吉法師こと信長、信勝に信秀が死んだことが伝えられた。
しかし、信長は外に出とるとのことなので政秀に伝わり、急いで政秀は信長もとへと向かった。
「吉法師様!大変でございます!」
河川敷にいた信長を見つけると、血相を変えてやって来た。
「親方様がお亡くなりました。急ぎ城へ!」
「爺!」
信長は爺と一言だけいって馬に乗ると城へ向かっていった。
それから、信長は居城へ向かうと礼服に着替え、父に会いに行き悲しんだ。
数日後の葬式に信勝の姿はあったが嫡男である信長の姿が無かった。
時は流れ、焼香の番が回ってきても信長の姿がみえない。
信勝の家老である勝家が信勝様がお先にと言って信勝が立ち上がろうとすると、馬の鳴き声が聞こえ歌舞者の服装をした信長が入ってきて位牌に焼香を投げつけた。
そのまま出ていき馬で何処かへ行ってしまった。
この行動により、織田家の家督は次男の織田信勝にとの声が大きくなり信長派の十六夜霧斎と平手政秀らは一人を除いて頭を抱えていた。
葬式の終わり後、平然としている十六夜霧斎に平手政秀が話しかけてきた。
「霧斎殿は何故、その様に平然としているのですか?」
「平手殿はなにか心配事でも?」
「殿のあのような姿は、当主に相応しくないと思った者たちが信勝様を押し立てるとなると…」
「大丈夫ですよ。気に負う必要はありません。きっと考えがあってでどうにかなりますから。」
一旦解散して数日間吉法師様の振る舞いは変わらずであったが霧斎殿からも注意されよと信長派の重臣らが言っていたが、霧斎は一切注意はしなかった。
また、数日後今度は平手政秀殿が屋敷にやって来た。
「十六夜殿、葬式以来ですな。」
「平手様もお久しぶりにございます。今回はどうなされたのでしょうか?」
「十六夜殿、早速で失礼するが単刀直入に申しまする。なぜ、十六夜殿は若、いや殿を注意しないのですかな?十六夜殿のことなら殿も聞くでしょう?」
「考えがあっての行動ですので平手殿深く考えないでくだされ。死んで更生させるとか考えないでください。大丈夫です。」
「あいわかった見守ることにしよう。」
平手政秀は部屋を出ていき、霧斎はお見送りすると空を眺めていた。
「歴史通りに進めば、この後は平手殿の切腹、殿の弟君の反乱か。上手く歴史よ。進んでくれよ。」
部屋に戻り布団を敷いて寝たのであった。
仕事が忙しい…




