第二十話 大垣城の戦い-其の弐-
大垣城内にて、一人の伝令が慌てた様子で評定の間に現れた。
「も、申し上げます!美濃斎藤勢転進此方に向かってきております!」
伝令が入ってきた時には直ぐに武装できる程度で解散宣言した時であった。
「それは誠か!撤退してからまだ時間は立っていないぞ!」
「誠でございます!」
伝令が本当であることを伝えると家老格の家臣が発言をした。
「殿、拙者が考えますにこれは大殿が美濃へ侵攻したから撤退するも、信友めが大殿の居城を攻めたからでしょうか。ですが何故撤退したのかがわからないですが信友めと繋がってる可能があります。」
「それしかないが二千の兵で一万とも言える斎藤勢をどうする籠城しても援軍も無い、食糧も心許ないのだぞ。」
家臣団と話していると別の伝令が入ってきた。
「報告します!斎藤勢目視で確認!臨戦状態に入った模様です。」
斎藤が撤退して再度大垣に来て太陽は昼を過ぎていた。
~斎藤陣営~
「各配置につきました。」
「よし、攻撃!」
斎藤勢側から銅鑼、太鼓、法螺貝などが鳴り響き、弓兵が大垣城へ一斉射した後、足軽と指揮官の騎馬に乗った武者が前進してきた。
「此方も矢をいかけよ!」
前進してくる敵兵に向けて矢を放ち応戦していると、第三門に張り付かれた。
「申し上げます!敵勢第三門に攻撃を開始!」
伝令が報告にくるも第三門に張り付いた足軽達は門を丸太で攻撃をしていた。
《門を守れ!土嚢を積め!矢をもっといかけよ!手の空いている者は石でもなんでもいい相手に向けて投げろ!》
門前では複数の隊指揮官による命令が飛び交っていた。
しかし、陽が落ちてくると第三門に張り付いていた斎藤勢は一時門から撤退。
織田勢は第三門は死守した。
「殿、第三門は死守いたしましたが明日には突破されますゆえ第二門を強化致しましょう。」
「ここは、使者を使わし城外退去と住民保護をつけて大垣を放棄しましょう。」
「親方様から預かった大垣を捨てると申すか!」
「援軍も無いのに、籠城しても意味無かろう!それに、親方様は余りいわないだろう!」
夜遅くまで評定は続き、まず大殿へ使者を出すこと、斎藤勢から防衛することなどを取り決め一旦解散した。
そして、夜はふけ霧がでかかっている時に外から歓声が聞こえた。
「何事か!」
外から小姓が現状を報告してきた。
「斎藤の奇襲にございます!城内は混乱の渦になっております。早くお逃げを!」
こうして、織田信辰は城を脱出し尾張へと逃れていった。
家老格の家臣である武将が二人討ち死にした。
一人は織田信辰として、一人は家老家臣として討ち死にした。
「すまぬ。」




