洗濯
8
結局、またこの姿のままだ。
さて…………どうしたものか……。
この洗濯物をどう物干しにかける?
後ろ足で立って、咥えてかける◀️
後ろ足で立って、前足でかける
そんな甘いもんじゃなかった。前足で物干しに手をかけて、洗濯物を咥えて、何とか物干しに乗っけた。よし!何とか1枚いけた!物干しが低くて良かった……。
「紅葉~!何して遊んでるの~?」
そこへ二人がやってきた。
「遊びじゃない!ベランダは危ないから、中に入ってろ。」
「危ない?危ない所に紅葉はいるの?」
ポロが心配そうな顔をした。
「そ、それは……俺は大人だから……」
二人が微妙な顔をした。
いやいや、わかってるよ。そんな顔しなくても……。この姿で俺は大人だから~とか言っても、全く説得力がないって事ぐらいわかってる。大人だからというより……獣だから?獣って言えよって顔してる……。見た目は獣、中身は大人、その名も…………
「手伝う~!」
そう言ってポロはタオルを引っ張った。
ギャー!ポロ、それ今さっき苦労して乗せたタオル!いとも簡単に落とさないでー!ルン、無理やりかご引きずらないでー!
物干しには、ぐちゃぐちゃの洗濯物がとりあえず乗った。あの靴下、絶対落ちるな……。
まぁいいや……。とりあえず休憩しよう……。と思ってソファーに乗っていると、ガッシャーン!と音が聞こえた。何事だ!?
急いでキッチンへ行くと…………床に割れた皿が落ちていた……。
「…………ごめんなさい。」
二人の顔が…………みるみるうちに泣き顔になっていった。
「危ないから離れてろ。」
ルンが欠片を拾おうとして、足で欠片を踏んでしまった。
「痛いっ!」
「あ、ほら、だから離れてろって…………」
「う……うわぁあああああん!!」
あ、やべ……。
「あ、いや、大丈夫!怒ってないから!いやマジで!!二人とも、こっちにいて。こっち、こっちで…………キャラメル!キャラメル食べよう!」
俺はルンを背中に乗せてリビングのソファーに座らせた。靴下を履いていて良かった……。他に欠片、ついてないよな?靴下を脱がせてみると、少し血が出ていた。絆創膏なんかあったか?それより掃除機…………
あれ…………?ポロがついてこない。…………ポロ?
ポロが廊下で倒れていた。
えぇええええええええ!!ど、どうした?どうした?どうした?
「ポロ、大丈夫か?!」
「うん……だい……じょうぶ。」
顔が赤い……。熱!?熱出たのか!?どどどどいうすれば……どうすればいい!?とりあえず、ベッドに……。ポロをベッドに乗せると、ルンに呼ばれた。
「く~れ~は~!まだ~?」
こっちはポロが毛を掴んだまま離してくれない。
「うーん……。」
ど、どうすればいい!?どうしたらいいんだ!?
とりあえず…………とりあえず…………人間の手が欲しい!!人間に戻りたい!!