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束の間の自由



目が覚めると…………子供にまみれて寝ていた。いつぶりだろう……。こんなにぐっすり寝たのは。子供達は凄い寝相で寝ていた。ルンは枕に足を乗せて、ポロは半分ベッドから落ちかけていた。ポロをベッドに戻すと、時計を見た。4時か……。


カーテンの外は明るくなり初めていた。今日は天気が良さそうだ。きっと洗濯物がよく乾く。とりあえず、顔を洗って……。洗面所で、鏡に移った自分に驚いた。


あれ…………?ああ、そうだ!俺、人間に戻ったんだ。


あ、そうだ。買い物に行こう。歯ブラシ。あと、トイレットペーパー。子供用の歯ブラシってどこに売ってんだ?パジャマも必要だな。


そういえば…………あいつら、いつまで家にいるんだ?このままずっと居続けるつもりなのか?


30歳独身、無職、子持ち……。

ひぃえええ~!!今は深く考えるのは止めておこう。


求職しつつ実家に戻ってしばらく休もうと思っていたけど…………子供を養うなら働かなければ!!


俺は洗濯機にタオルを突っ込んで、スタートボタンを押した。洗濯機が回る音を聞きながら、上着を着て出かけた。もうすっかり秋も深まってきた。もうすぐ冬だ。外は冷える。


自由だ!久しぶりに自由に外出できる!!追われる心配も捕まる心配もしなくていい!…………って何もしてないのに!いつの間にか犯罪者みたいな思考に……!!


しばらく自由な時間を楽しんで、近所のコンビニに寄って、朝食を買って家に戻ると、どこからか泣き声が聞こえた。


…………うちか?


まさか。まだ5時だぞ?二人はまだあの寝相で、グースカ寝てるはずだ。


そう思って、普通に鍵を開けてドアを開けると……


そこには…………


ドアの目の前で、泣きじゃくる二人がいた。


「ふぇええええ……くれは~!」

「っひっく…………ぃっく…………」


胸が…………締め付けられた。


その泣き声を聞くと、まるで誰かに心臓を握られているかのようだった。


「もう、わがまま言わない……だから……置いてかないで!」

「僕、僕も……ひっく…………い、いい子にする!」

「…………。」

俺は……泣いている二人に何も言えなかった。ただ、ドアを開けたまま、立ち尽くしていた。


「ごめんなさい……。ごめんなさい……。ごめんなさい……。」

二人は何度も何度も俺に謝っていた。何に謝ってんだよ。何も悪い事なんかしてないだろ?悪いのはこっちだ……。


「こっちこそ…………ごめん。」

不安にさせて…………ごめんな。


そう言ってしゃがむと、二人は俺に抱きついて来た。


俺は……他人の事を考えるのは苦手だ。いつも1人で、自分の為だけに生きて来た。そんな俺が……本当にこいつらの親になれるか?わからない……。


でも、1つわかった事がある。

この二人には、俺しか頼る奴がいない…………という事だ。


「やっぱり、僕、もふもふ好きだな……。」

「え?……もふもふ?」

今、もふもふって言った?


「ギャー!狼に戻ってる!!」

二人は喜んだ。

「やった~!戻った~!」

「ここ喜ぶとこじゃないから!!」


結局…………俺はまた、狼の姿に戻った。

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